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ブッシュ大統領の2007年度予算:概要(その2)
NEDOワシントン事務所
松山貴代子
2006年2月17日
ブッシュ大統領は2006年1月31日の年頭教書演説で、米国のイノベーション奨励、および、競争力強化を目的とする「米国競争力イニシアティブ(American
Competitiveness Initiative =
ACI)」を発表し、全米科学財団、商務省国立標準規格技術研究所のコアプログラム、および、エネルギー省科学部の予算を向こう10年間で倍増することを提案した。一方で、2009年度までに財政赤字を半減するという大統領の確約を満たすため、ブッシュ政権が最優先事項とみなすプログラム(注1)以外は殆ど全てが相当額の削減に直面することになる。このレポートでは、ACIの恩恵を受ける全米科学財団と商務省、2004年度以来予算が伸び悩んでいる厚生省の国立衛生研究所、および、運輸省と国土安全保障省の予算について概説する。
II. 全米科学財団
全米科学財団(National Science Foundation =
NSF)の予算は「米国競争力イニシアティブ」により、2016年度には111億6,000万ドルまで引き上げられる予定となっている。ブッシュ大統領はこの10ヵ年倍増計画の初年度である2007年度の予算として、前年度予算を4億3,900万ドル(7.9%)上回る60億200万ドルを要求している。しかしながら、厳しい緊縮財政のために、この大統領要求額は「2002年NSF予算倍増法」で認可した2007年度予算を38億1,900万ドルも下回る水準であり、2007年度の大幅増額をもってしても生物学や数学・物理学等の研究部局(research
directorate)は未だに2004年度水準に至らないというのが実情である。「2002年NSF予算倍増法」、大統領要求額、実績を比較した表は下記の通り:
(単位:100万ドル)
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2003年度
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2004年度
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2005年度
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2006年度
|
2007年度
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2002年NSF予算倍増法
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5,536
|
6,391
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7,378
|
8,570
|
9,839
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ブッシュ大統領予算要求
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5,036
|
5,481
|
5,745
|
5,605
|
6,020
|
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実績
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5,310
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5,578
|
5,481
|
5,581
|
−
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同財団の研究開発(R&D)予算は45億4,800万ドルで、2006年度より3億4,900万ドル(8.3%)の増額。増額の殆どが施設・設備に充てられた前年度とは異なり、2007年度予算では基礎研究費(2億900万ドル増の36億8,700万ドル)、応用研究(1億9,800万ドル増の3億7,900万ドル)、施設・設備費(8,000万ドル増の4億8,200万ドル)が各々にかなりの増額を受けている。2006年度には微増(約1%)または前年度並みという予算配分に留まったNSFの研究部局も、2007年度予算案では、南極後方支援活動予算を除いて各部局が約6〜15%の増額を享受しており、特に、サイバーインフラに至っては43.5%の増額を受けている。各研究部局の予算は下記の通り:
(単位:100万ドル)
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2005年度実績
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2006年度認可
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2007年度要求
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FY2007 対 FY2006
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生物学
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576.78
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576.79
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607.85
|
31.16増 (5.4%増)
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コンピューター・情報科学
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490.20
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496.41
|
526.69
|
30.28増 (6.1%増)
|
|
工学
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557.09
|
580.92
|
628.55
|
47.63増 (8.2%増)
|
|
地球科学
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697.17
|
702.83
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744.85
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42.02増 (6.0%増)
|
|
数学・物理学
|
1,069.36
|
1,085.45
|
1,150.30
|
64.85増 (6.0%増)
|
|
社会学・行動科学・経済学
|
196.80
|
199.91
|
213.76
|
13.85増 (6.9%増)
|
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サイバーインフラ
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123.40
|
127.12
|
182.42
|
55.30増 (43.5%増)
|
|
国際理工プログラム
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43.38
|
34.52
|
40.61
|
6.09増 (17.6%増)
|
|
極地研究プログラム
|
278.27
|
322.68
|
370.58
|
47.90増 (14.8%増)
|
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南極後方支援活動
|
70.26
|
66.66
|
67.52
|
0.86増 (1.3%増)
|
NSF予算のハイライト:
- 主要な研究関連活動
- NSFがリード役を務める国家ナノテクノロジー・イニシアティブ(National
Nanotechnology Initiative =
NNI)への2007年度予算は前年度比2,940万ドル(8.6%)増の3億7,320万ドル。同予算には、約50のナノスケール学際研究チーム(Nanoscale
Interdisciplinary Research
Tem)を新設する支援資金となる6,500万ドルが含まれている。
- NSFのネットワーキング・情報技術R&D(Networking
and Information Technology Research and
Development)予算は9億370万ドルで、9,340万ドル(11.5%)の増額。
- 気候変動科学プログラム(Climate Change
Science
Program)へのNSF投資は昨年・一昨年と削減が続いたが、2007年度予算は840万ドル(4.3%)増額されて2億530万ドル。
- 国際地球観測年(1957-1958)の創設50周年を祝う新プログラム「国際極年(International
Polar Year)」に6,160万ドルを計上。 ・
NSFが新興分野にタイムリーに専心することを可能にするため、研究革新新興フロンティア部(Office
of Emerging Frontiers in Research and Innovation =
EFRI)を新設する。初年度予算は2,500万ドル。
- 政府の研究・教育機関で生まれた知識(ナリッジ)を、地方・地域・国家経済の強化および国家福利の向上に有用なイノベーションへと変えることを奨励する革新パートナーシップ(Partnerships
for
Innovation)の予算は前年度比2.11%増で920万ドル。但し、同予算は2006年度に削減を被っているため、2005年度水準よりは約70万ドルの減少となる。
- エンジニアリング部(Engineering
Directorate)に盛り込まれた中小企業革新研究プログラム(SBIR)と中小企業技術移転プログラム(STTR)への予算は1億890万ドルで、2006年度議会承認額より8.5%の増大。
- エビデンスに基づいた「科学政策の科学」を確立するために必要なデータ、ツール、知識の構築を目標とする新たな研究プログラム「科学メトリクス(Science
Metrics)」に680万ドルを配分。
- 植物ゲノム研究プログラム(Plant Genome
Research
Program)の予算は2006年度の議会承認額より250万ドル多い1億100万ドル。
- 主要な教育関連プログラム
NSFの教育・人材関連予算は前年度予算を1,950万ドル(2.5%)上回る8億1,620万ドルであるが、同予算は2005年度と2006年度に削減を受けており、今回の増額をもってしても2004年度水準以下となっている。2007年度には大学院教育への投資が増える(前年度比4.9%増)一方、学士課程教育への予算は約7%の削減となる。
- EPSCoR(Experimental Program to Stimulate
Competitive
Research)計画の2007年度予算として、前年度比1.3%増の約1億ドルを要求。
- 米国の有望な科学・数学・工学専攻大学院生を支援する大学院研究フェローシップ(Graduate
Research
Fellowships)の予算は8,800万ドル(2006年度比3.1%増)まで引き上げられるものの、2005年度予算と比べると850万ドルの減少。
- 科学・技術・工学・数学(STEM)分野で学ぶ大学院生に学者や科学者となるために必要な技能を習得させるK-12教育の大学院生授業助手制度(Graduate
Teaching Fellows in K-12
Education)予算は前年度より8.7%増額の4,680万ドル。
- 高等教育機関とのパートナーシップによって、K-12までの全学生の数学・科学の能力向上を目指す数学・科学パートナーシップ(Math
& Science
Partnerships)の予算は昨年に続く削減で、2007年度は4,600万ドル(前年度比27.2%減)。また、STEM指導・学習を支援する学科・教育課程・ラボ改善(Course,
Curriculum & Laboratory
Improvement)予算も2年続きの削減で、8,650万ドル(前年度比1.8%減)まで引き下げられる。
- STEM分野で学位を取る米国市民および米国永住者の増数を目的とするSTEM人材育成拡充計画(STEM
Talent Expansion
Program)は2%の微増で2,600万ドル。
- 博士課程の米国人学生を大学・産業界・公的部門で活躍できるように育成する大学院教育研究統合トレーニング(Integrated
Graduate Education and Research
Training)の2007年度予算は4.9%増額されて2,460万ドル。
- 学際的研究の奨励、および、諸学間横断的(cross-disciplinary)研究や教育の統合を通して科学・工学の前進を図るNSFの主要センター
- 科学技術センター(Science and Technology
Centers)には前年度比8.2%増の6,750万ドル、学習プロセスの理解を深めるために学際的センター等を支援する学習科学センター(Science
of Learning
Centers)予算は18.9%増の2,700万ドル、材料研究科学工学センター(Materials
Research Science and Engineering
Centers)は3.8%増額の5,570万ドル。
- ナノスケール科学工学センター(Nanoscale
Science & Engineering
Centers)、工学研究センター(Engineering Research
Centers)、および産学協同研究センター(Industry/University
Cooperative Research
Centers)の2007予算はほぼ前年度並みで、各々3,740万ドル(0.4%増)、6,280万ドル(1%減)、680万ドル(同額)となる。
- 基礎的な化学研究の「重大な問い」に対応することを目的とする化学結合センター(Chemical
Bonding
Centers)の予算を102.7%増額して300万ドルまで引き上げる一方、地震工学研究センター(Earthquake
Engineering Research Centers)を撤廃。
- 国土安全保障関連活動
NSFの国土安全保障に関する基礎研究投資は2006年度を4,200万ドル(12.1%)上回る3億8,400万ドル。爆発物の探知を改善するセンサーやセンサーシステム技術に関する基礎研究を支援する爆発物探知センサー(Sensors
for the Detection of
Explosives)には2,000万ドルが投資される。
III. 商務省
2007年度の商務省予算は約61億3,900万ドルで、2006年度(注2)議会承認額(64億1,000万ドル)より約2億7,100万ドル(4.2%)の削減となっている。同省のR&D予算は2006年度より1,400万ドル(1.3%)少ない10億6,500万ドルという要求で、昨年同様に、基礎研究費(2006年度比55.4%増)を除き、応用研究、開発、施設・設備の予算が軒並み削減されている。2006年度には、国立標準規格技術研究所(National
Institute of Standards and Technology =
NIST)がR&D予算削減分のかなりの部分を負ったが、今回はブッシュ提案のACIによってNISTのR&D予算は6.4%増の4億5,100万ドルまで引き上げられている。一方、国立海洋大気局(National
Oceanic and Atmospheric Administration =
NOAA)のR&D予算は昨年に続く削減要求となっている。商務省R&D算の内訳は下記の通り:
(単位:100万ドル)
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|
2006年度推定
|
2007年度要求
|
2007年度 対 2006年度
|
|
基礎研究
|
56
|
87
|
31増 (55.4%増)
|
|
応用研究
|
779
|
769
|
10減 (1.3%減)
|
|
開発
|
118
|
94
|
24減 (20.3%減)
|
|
施設・設備
|
126
|
115
|
11減 (8..7%減)
|
|
合 計
|
1,079
|
1,065
|
14減 (1.3%減)
|
ここでは、NISTとNOAAの予算について概説する。
- NISTの2007年度総予算は前年度議会承認額を1億7,070万ドル(22.7%)下回る5億8,130万ドルで、予算は(i)科学的・技術的研究事業((Scientific
and Technical Research and Services =
STRS);(ii)研究施設建設(Construction of Research
Facilities = CRF);(iii)産業技術事業(Industrial
Technology Services =
ITS)の3費目に分類される。ACIで10ヵ年倍増を受け、2016年には予算が11億4,000万ドルまで増額される予定のNISTコアプログラム(STRSとCRF)への2007年度予算要求は5億3,500万ドル(注3)で、上昇どころか、前年度議会承認額(5億6,850万ドル)の5.9%減となっている。
(単位:100万ドル)
|
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FY2006要求
|
FY2006認可
|
FY2007要求
|
FY2007 対 FY2006
|
|
STRS
NIST研究所
マルコム・ボルドリッジ賞
|
426.3
420.6
5.7
|
394.8
387.5
7.3
|
467.0
459.4
7.6
|
72.2増 (18.3%増)
71.9増 (18.6%増)
0.3増 (4.1%増)
|
|
CRF
|
58.9
|
173.7
|
68.0
|
105.7減 (60.9%減)
|
|
ITS
先端技術計画 (ATP)
製造技術普及計画 (MEP)
|
46.8
0
46.8
|
183.6
79.0
104.6
|
46.3
0
46.3
|
137.3減 (74.8%減)
79.0減 (100%減)
58.3減 (55.7%減)
|
|
合 計
|
536.2
|
752.0
|
581.3
|
170.7減 (22.7%減)
|
NIST予算のハイライト:
- R&D予算は2006年度より1,300万ドル(3.0%)増額され、4億5,100万ドル。基礎研究予算が前年度比2,500万ドル(40.3%)増の8,700万ドル、開発と施設・設備予算が合わせて1,300万ドル増額(注4)の9,700万ドルとなる一方で、応用研究は昨年同様に削減を受け、前年度レベルより2,500万ドル(8.6%減)少ない2億6,700万ドルとなる。
- 大統領の提案したACIの一環として、NIST研究所予算は7.2万ドル増額されることになる。同イニシアティブ下で増額を受ける12のコンポーネントは下記の通り:
- ナノテクノロジーの実現:発見から製造まで …
2万ドル増額
- 中性子研究センターの拡張および改善 …
1万ドル増額水素経済の実現 … 1万ドル増額
- サプライチェーン統合による製造イノベーション …
2,000ドル増額
- 量子情報科学:21世紀イノベーションのためのインフラ整備
… 9,000ドル増額
- 台風、火災、地震時の構造安全 …
2,000ドル増額
- 次世代材料イノベーションを可能にするシンクロトロン計量科学技術
… 5,000ドル増額
- 国際基準とイノベーション …
2,000ドルの増額
- 計測学におけるイノベーション …
4,000ドル増額
- 生体イメージング:21世紀医療技術のための計量科学と基準
… 4,000ドル増額
- サイバーセキュリティ:国家と国民の安全を保障する革新技術
… 2,000ドル増額
- バイオメトリクス … 2,000ドル増額
- NIST研究施設建設(CRF)予算の内、1,200万ドルは上記(2)に関連し、中性子研究センターの建設と改築に充てられる。また、老朽化するNIST施設の改修費として1,000万ドル、コロラド州ボルダー施設の改築費として1,010万ドルが計上されている。
- ハイリスク技術への投資・開発で産業界を支援する先端技術計画(Advanced
Technology Program =
ATP)は、ベンチャーキャピタル他の融資元の発達により不要になったとして、ブッシュ政権はまたも同プログラムの廃止を提案している。また、製造技術普及計画(Manufacturing
Extension
Program)には、5,830万ドル削減で4,630万ドルを要求している。
- 国家ナノテクノロジー・イニシアティブに対するNISTの投資は、前年度を1,000万ドル上回る8,600万ドル。
- NOAAの2007年度総予算は2006年度議会承認額を2億2,730万ドル下回る36億8,400万ドル(注5)。同局のR&D予算はここ数年削減が続いている(注6)が、2007年度も例外ではなく、前年度6.3%減の5億7,800万ドルに引き下げられている。応用研究が前年度より1,200万ドル(2.4%)削減されて4億9,000万ドルとなるほか、開発と施設設備を合わせた予算も2,500万ドル(2.4%)削減の8,800万ドルという要求になっている。
NOAA予算のハイライト:
- NOAAの海洋・大気研究局(NOAA
Researchと呼ばれる)への予算要求額は2006年度レベルを3,520万ドル(9.4%)下回る3億3,830万ドル。気候研究への2007年度予算は1億8,120万ドルで前年度より1,070万ドルの増額、情報技術・R&D・科学教育の予算が1,290万ドルで前年度より610万ドルの増額となる反面、海洋・沿岸線・五大湖リサーチの予算は1億300万ドル(前年度比2,520万ドル減)、気象・大気質研究は4,120万ドル(2,680万ドル減)とかなりの削減となる。
- 全米環境衛星データ・情報サービス局(National
Environmental Satellite Data and Information
Service)の2007年度予算は3,100万ドル削減の1億4,960万ドル。全米環境観測システム(National
Environmental Satellite Observing
System)の予算がGlobal Winds Demo
Projectの段階的廃止を反映して、9,770万ドル(前年度比1,010万ドル減)まで削減となるほか、NOAAデータ・情報サービスセンターの予算も2,000万ドル削減されて5,190万ドルとなる。
- 省庁間イニシアティブの気候変動科学プログラム(Climate
Change Science Program =
CCSP)へのNOAA投資は前年度レベルを14.1%(2,300万ドル)上回る1億8,600万ドル。
IV. 厚生省の国立衛生研究所
厚生省の2007年度全体予算は6,980億ドルで、前年度より580億ドル多い要求となっているが、Medicare等の義務的支出プログラムの負担額をカバーする増額であって、自由歳出予算は前年度より約15億ドル少ない676億ドルとなる。国立衛生研究所(National
Institutes of Health =
NIH)の予算は前年度と同額の285億7,800万ドルで、NIHのR&D予算も前年度同額の277億6,800万ドルとなっている。基礎研究が0.2%の微増となる一方で、応用研究および施設・設備予算が若干削減されている。NIHの24研究機関と国立医学図書館の内、唯一増額を受けるのは国立アレルギー・伝染病研究所(前年度比0.2%増)だけであり、他の研究機関は前年度と同額もしくは1%未満の削減となっている。NIHのR&D予算内訳は下記の通り:
(単位:100万ドル)
|
|
2006年度推定
|
2007年度要求
|
2007年度 対 2006年度
|
|
基礎研究
|
15,973
|
16,001
|
28増 (0.2%増)
|
|
応用研究
|
11,676
|
11,653
|
23減 (0.2%減)
|
|
施設・設備
|
119
|
114
|
5減 (4.2%減)
|
|
合 計
|
27,768
|
27,768
|
±0
|
NIH予算のハイライト:
- 2007年度NIH予算の約86%が約3,000の大学・病院・他の研究機関に属する20万人以上の研究者を支援するグラントやコントラクトに費やされ、約10%にあたる27億5,900万ドル(前年度比900万ドル減)が基礎研究や臨床研究活動プログラムという内部研究に、残りがNIH内の研究施設維持や研究管理支援等に充てられる。
- 内部の研究者や研究機関を対象とする研究プロジェクトグラント(ResearchProject
Grant = RPG)(注7)には、前年度比約1.6%減の145億2,000万ドルが要求されている。新規の競争グラント用予算は2006年度比4%減の32億7,100万ドルに減少するにも拘わらず、競争グラントの交付数は275件多い9,337件が見込まれている。2007年度のRPG研究プロジェクト総数は642件減少して35,805件となるが、これは、NIH予算倍増が行われた1999年度から2003年度の間に交付された非競争グラントの多くが2006年度に終了するためである。
- 中小企業革新研究(Small Business Innovation
Research)と中小企業技術移転研究(Small Business
Technology Transfer
Research)の予算は、2006年度より200万ドル少ない6億300万ドル。グラント交付数も14件減り、1,866件の予定。
- バイオ防衛研究(Biodefense
research)の2007年度予算要求は1億1,000万ドル(6.2%)増の18億9,100万ドル。この内の1億6,000万ドル(注8)を、学界や産業界と協力して、放射能や化学的脅威への対応薬候補を研究用新薬適用(Investigation
New Drug Application)の段階からProject
BioShieldの調達対象となる段階にまで進展させる努力を支援する先進開発基金(Advanced
Development Fund)へ充当する。
- バイオ医療研究ロードマップの2007年度予算は2006年度を1億1,300万ドル上回る4億4,300万ドル。ロードマップの3つのテーマは、(1)発見への新たな道(new
pathways to
discovery);(2)未来の研究チーム;(3)臨床研究事業の活性化で、各々に、1億8,100万ドル、8,100万ドル、そして、1億8,100万ドルが計上される。
- 斬新な考えや技能を有する新人調査研究員への支援を拡大するため、「自立への道(Pathway
to
Independence)」という新プログラムを設置する。初年度予算は1,500万ドル。
- 心疾患や糖尿病、癌や脳卒中、アルツハイマー病やパーキンソン症、統合失調症や自閉症といった疾病や疾患の発生リスクを増幅する主要遺伝因子の発見を速め、食事や運動や環境被ばくがこうした疾病要因に与える影響を査定する新技術の開発を促進するため、「遺伝子・環境・衛生イニシアティブ(Genes,
Environment and Health
Initiative)」という複数年度イニシアティブを新設する。2007年度予算は6,800万ドル。
- AIDS研究プログラムの予算は1,517万ドル削減の28億8,800万ドル。
- 汎発性インフルエンザ準備プランの支援として、汎発性インフルエンザ研究に2006年度より1,700万ドル多い3,500万ドルを充当。
V. 運輸省
2007年度の運輸省全体予算は656億ドルで、前年度よりも9,300万ドルの増額。この内の約500億ドルは、「安全で責任のある柔軟かつ効率的な交通平準化法(Safe,
Accountable, Flexible, Efficient Transportation Equity Act:
A Legacy for Users =
SAFETEA-LU)」の定める交通プログラム、高速道路プログラム、および、安全性プログラムに充てられる。同省のR&D予算は2006年度より1億4,700万ドル(20.9%減)少ない5億5,700万ドル。基礎研究が前年度と同額、施設・設備費が100万ドル増となる一方で、応用研究と開発費は各々、22.2%と23.9%という大幅な削減を受ける。運輸省は2年前に5つの重要戦略目標を設置したが、各目標に対する2007年度の予算配分率は下記の通り:
- 安全性の向上に24.3% [2006年度は26.1%]
- 全市民の移動性(mobility)改善に67.1% [64.5%]
- 世界的交通網連絡の改善に0.3% [0.5%]
- 環境保護の6.4% [6.7%]
- 国家安全保障の支援に0.7% [0.9%]
(単位:100万ドル)
|
|
2006年度推定
|
2007年度要求
|
2007年度 対 2006年度
|
|
基礎研究
|
39
|
39
|
±0
|
|
応用研究
|
392
|
305
|
87減 (22.2%減)
|
|
開発
|
255
|
194
|
61減 (23.9%減)
|
|
施設・設備
|
18
|
19
|
1増 (5.6%増)
|
|
合 計
|
704
|
557
|
147減 (20.9%減)
|
運輸省予算のハイライト:
- 研究・革新技術局(Research and Innovative Technology
Administration =
RITA)への2007年度予算要求額は3,520万ドル。内訳は、全ての交通手段にまたがる交通研究の調整・推進、および、水素燃料やリモートセンシングといった革新的な交通技術の向上・推進を行うR&D予算に820万ドル(注9)、包括的交通統計の研究・分析・報告に残りの2,700万ドルとなっている。RITAは更に、実費精算ベースで、他省庁の為に交通関連の研究・教育・訓練・技術応用を実施することになっており、2007年度には約3億ドルの払い戻しを見込んでいる。
- 省庁間プログラムである次世代航空輸送システムイニシアティブ(Next
Generation Air Transportation System
Initiative)への要求額は1億2,200万ドル。この内、8,000万ドルが連邦航空局(Federal
Aviation Administration =
FAA)の放送型自動従属監視(Automatic Dependent
Surveillance-Broadcast)技術に計上される。
- FAAの研究・工学・開発予算要求額は前年度より700万ドル少ない1億3,000万ドル。この内、8,800万ドルが航空安全問題関係の研究に、残りの4,200万ドルが移動性(mobility)と環境問題の研究に充てられる。
- 連邦高速道路局(Federal Highway
Administration)の予算に盛り込まれた2007年度研究・インテリジェント交通システム予算は、4億6,760万ドル。
- 米国高速道路安全局(National Highway Traffic Safety
Administration =
NHTSA)の耐衝撃性研究支援予算は8,600万ドルで、運転手の注意散漫テストや乗員保護、衝突原因研究等を行う。
- 鉄道システムの安全性研究を支援する、連邦鉄道局(Federal
Railway
Administration)のR&D予算は、前年度より2,000万ドル少ない3,500万ドル。
- 大統領の水素燃料イニシアティブへは、RITAおよびNHTSAから2006年度と同額の100万ドルを計上。
VI. 国家安全保障省
国土安全保障省(Department of Homeland Security =
DHS)の2007年度予算は、前年度予算レベルの6.3%増で353億9,000万ドル。
2007年度DHS予算案では、ハリケーンカトリーヌとリタへの対応の遅れと不十分さで厳しい批判をあびている連邦緊急事態管理局(FEMA)の強化・改善を特にとりあげ、同局の予算を2006年度の27億3,100万ドルから30億9,300万ドルまで引き上げることを提案している。一方、2006年度には前年度比23.8%という大幅増額を享受したDHSのR&D予算も、2007年度には緊縮財政の影響を避けることが出来ず、基礎研究と応用研究が削減され、全体では1.6%の増額に留まっている。同省R&D予算の内訳は下記の通り:
(単位:100万ドル)
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2006年度推定
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2007年度要求
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2007年度 対 2006年度
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基礎研究
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95
|
49
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46減 (48.4%減)
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応用研究
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1,093
|
943
|
150減 (13.7%減)
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開発
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195
|
335
|
140増 (71.8%増)
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施設・設備
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101
|
181
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80増 (79.2%増)
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合 計
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1,484
|
1,508
|
24増 (1.6%増)
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DHS予算のハイライト:
- 2006年度予算で、運輸保安局(TSA)、沿岸警備隊(USCG)、税関・国境警備隊、情報分析・インフラ保護部(Information
Analysis and Infrastructure Protection
Directorate)における研究・開発・実験・評価活動が科学技術部(Science
and Technology
Directorate)の下に一本化されたが、2007年度大統領予算案では、科学技術部予算として前年度レベルを4億6,500万ドル(33%)下回る10億200万ドル(注10)を要求している。科学技術部の主要なイニシアティブは下記の通り:
(単位:1,000ドル)
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2006年度認可
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2007年度要求
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2007年度 対 2006年度
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生物兵器対抗技術
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376,200
|
337,200
|
39,000減 (10.4%減)
|
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化学兵器対抗技術
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94,050
|
83,092
|
10,958減 (11.7%減)
|
|
爆発物対抗技術
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43,560
|
86,582
|
43,022増 (98.8%増)
|
|
放射能・核対抗技術
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18,895
|
−
|
18,895減 (100%減)
|
|
標準化
|
34,650
|
22,131
|
12,519減 (36.1%減)
|
|
大学・奨学金プログラム
|
62,370
|
51,970
|
10,400減 (16.7%減)
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|
創発的・原型的技術(Emergent & Prototypical
Technology)
|
−
|
19,451
|
新規
|
|
携帯型地対空防衛システム(MANPADS)対抗技術
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108,900
|
4,880
|
104,020減 (95.6%減)
|
|
重要インフラの保護技術
|
40,392
|
15,413
|
24,979減 (61.8%減)
|
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サイバーセキュリティ
|
16,533
|
22,733
|
6,200増 (37.5%増)
|
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国内核探知局
|
314,834
|
−
|
314,834減 (100%減)
|
- 国内核探知局(Domestic Nuclear Detection
Office)は科学技術部から独立。2007年度予算は5億3,680万ドル。内、1億5,700万ドルは放射線探知装置調達イニシアティブ(Radiation
Portal Monitor Acquisition
Initiative)に、3,000万ドルは隠された核物質を確認する積荷スクリーニングに使用される先進型積荷自動ラジオグラフィー装置プロジェクトに計上される。
注釈:
- 1:ブッシュ政権が最優先視するプログラムは、上記ACIの他に、国防省の兵器研究開発、米航空宇宙局の月有人飛行。
2:ブッシュ大統領の2006年度商務省予算要求額は94億ドル。これには、連邦政府5省庁に散らばる18の経済・コミュニティ開発支援計画を廃止統合し、商務省に「米国コミュニティ増強イニシアティブ(Strengthening
America's Communities
Initiative)」を新設する37億ドル1,000万ドルが含まれていたが、下院歳出委員会の商務省・国務省他省庁の予算を担当する小委員会が同イニシアティブを2006年度歳出法案に含めることを断固拒否したため、大統領の2006年度商務省予算要求額は事実上56億9,000万ドルとなったもの。
3:ブッシュ大統領の2006年度要求額(4億8,520万ドル)と比べると、10.3%の増額となる。
4:全米科学振興協会(AAAS)発表のPreliminary
Analysis of R&D in the FY 2007
Budgetには、NISTのR&D総予算、基礎研究、応用研究が掲載されているが、現時点では未だ、開発費と施設・設備費が各々幾らであるのか明らかでない。
5:大統領の2006年度要求額よりは8,400万ドルの増額となっている。
6:NOAAのR&D予算は少なくとも2003年度以降は毎年、減額要求となっている。
7:同グラントの予算は、NIHのR&D総予算の約51%に相当する。
8:2006年度予算は5,000万ドル。
9:2006年度より200万ドルの増額。
10:科学技術部の予算減少は、DHS再編によって国内核探知部(Domestic
Nuclear Detection
Office)が科学技術部から独立したこと、ラピッド・プロトタイピングや新興脅威認知(Threats
Awareness)といった幾つかのイニシアティブ廃止を反映している。
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