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2006年度大統領予算案に対する補足資料 (概要)
NEDOワシントン事務所
国家科学技術会議(National Science and Technology Council = NSTC)は2005年3月21日に、『国家ナノテクノロジー・イニシアティブ:テクノロジーおよび産業界の革命に繋がる研究開発(The National Nanotechnology Initiative: Research and Development Leading to a Revolution in Technology and Industry:以下「年次報告書」という)』という報告書を発表した。この年次報告書は、@現行予算;A次年度予算;B進捗状況の分析;C「国家ナノテクノロジー諮問委員会(National Nanotechnology Advisory Panel:以下「諮問委員会」という)」提言の履行状況分析;D中小企業革新研究(SBRI)計画や中小企業技術移転研究(STTR)計画といった連邦プログラムの活用状況評価を盛り込んだ年次報告書を、大統領予算教書提出時に上院商業科学運輸委員会、下院科学委員会、及び、その他該当委員会に提出するようNSTCに義務付けた「21世紀ナノテクノロジー研究開発法(21st Century Nanotechnology Research and Development Act:以下「ナノテクノロジー法」という)」の条項に応じて発表されたもので、2006年度大統領予算に対する補足資料の役割を果たしている。 年次報告書は、下記の三部構成となっている:
第一章のNNIプログラム概要、第二章のPCA別NNI研究開発プログラム概要は主として、昨年12月に発表された「戦略プラン」の要約(注1)であるため、ここでは、第三章の省庁別およびPCA別予算データを中心に概説する。
2005年度および2006年度のNNI投資 2005年度のNNI推定投資額は、2004年度実績(9億8,900万ドル)を9,200万ドル(9%)上回る10億8,100万ドル。全米科学財団(NSF)は8,200万ドルという大幅増額となっているが、これは、ナノテクノロジーの重要性が多様な分野およびミッションにまたがって更に増していることを反映している。また、厚生省(HHS)国立衛生研究所(NIH)のNNI予算も、ナノテクノロジーをベースとしたバイオ医療R&Dの進歩が重要視され、3,600万ドルの増額を受けている。 ブッシュ大統領は2006年度NNI予算として、下記の11省庁(注2)に、2005年度推定額を2,700万ドル下回る10億5,400万ドルを要求している。NSFとNIHおよび米農務省(USDA)の予算が若干増額となる一方で、国防省(DOD)・エネルギー省(DOE)・米航空宇宙局(NASA)の予算は削減され、他省庁は前年度据え置きとなっている。 (単位:百万ドル)
出典:年次報告書36ページの表3をもとにワシントン事務所作成 NNI投資は過去5年間で倍増(クリントン前大統領の2001年度要求額は4億9,500万ドル)したとはいうものの、2003年12月3日に成立した「ナノテクノロジー法」が認可する5省庁の予算総額と比較してみると、ブッシュ政権のNNI投資は、緊縮財政の影響を逃れえず、「ナノテクノロジー法」の認可額をかなり下回っていることが明白になる。「ナノテクノロジー法」では、2007年度予算として対象5省庁に9億5,500万ドル、2008年度予算として10億2,400万ドルを認可しているが、ブッシュ政権が2009年までに財政赤字の半減を誓約して裁量的支出の抑制を図っていることを考慮すると、現政権が今後、「ナノテクノロジー法」の認可する投資額に匹敵するような予算を要求することは殆どありえないといっても過言ではないであろう。
各省庁のPCA別2006年度投資 2005年度と2006年度のNNI予算報告書では、「戦略プラン」に叙述されたPCAに基づいた新たな投資構成が使用されている。表2は、各省庁が7つのPCA分野に計上予定の予算額を示したものである。NNI投資で上位5省庁の重点分野は下記の通り。
(単位:百万ドル)
社会的局面PCAの2006年度投資内訳 ナノテクノロジーの実用化を目的とするR&D、および、ナノテクノロジーが環境や人体に及ぼす影響調査を目的とするR&Dに対し、NNI投資バランスを如何にとるべきかについて、ナノテクノロジーに従事する様々な団体や個人、および、米国議会が非常な関心を示している。行政管理予算局(Office of Management and Budget)は、ナノテクノロジーの責任ある開発のためにNNIが行っている施策を説明するために、社会的局面PCAの内、ナノテクノロジーが環境面・健康面・安全面(environmental, health and safety = EHS)に及ぼす影響に関するR&Dへの推定予算を提出するようNNI参加全省庁に要求して、下記のデータを集計している。年次報告書では、EHS以外の予算は全て、倫理面・法律面、社会面の問題や教育関係活動の研究支援として分類している。
この二つのカテゴリーにおけるNNI推定投資額を示したのが表3であるが、これは社会的局面PCAの内訳だけであって、他のPCAに入るR&DでEHSを主要目的とはしないながらも、EHSに関連のある研究…例えば、ナノスケール材料と生体組織の相互作用の基本的メカニズムの研究…等の予算は含まれていない。 (単位:百万ドル)
SBIR計画およびSTTR計画の活用状況 NNIは、新開発されたナノテクノロジーの実用化推進を目的とする数々の活動を支援しており、中小企業革新研究(SBIR)計画と中小企業技術移転研究(STTR)計画もそうした活動の一環である。2005年度と2006年度には、DODやNSF、NIHやUSDAといった幾つかの省庁が、自省のSBIR競争公募でナノテクノロジーを重要分野に指定している。「ナノテクノロジー法」はNSTCに、NNIの支援におけるSBIR計画とSTTR計画の活用状況に関する情報提出を義務付けている。しかしながら、各年のグラント給付額は事前に設定されているわけではなく、応募提案によって決定されるため、データはグラントが交付されて始めて入手可能となる。このため、ナノテクノロジー研究に交付されたSBIRおよびSTTRの助成額に関するデータは、この年次報告書の発表までには集まらなかったため、NSTC技術委員会のナノスケール科学工学技術小委員会(Subcommittee on Nanoscale Science Engineering and Technology = NSET)では、SBIR計画とSTTR計画のデータが入手可能となった段階で、その活用状況評価を年次報告書への追加報告として提出する予定である。
注釈: 1:この「戦略プラン」の概要は、海外レポート948号で紹介。 2:表1にある11省庁に加え、商務省の産業安全保障局、商務省の特許商標局、商務省の技術局、消費者製品安全委員会、国務省、運輸省、財務省、厚生省の食品医薬品局、国際貿易委員会、原子力規制委員会、および、情報技術革新センターが参加。現在のNNI参加省庁数は計22省庁となっている。
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