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ブッシュ大統領の2006年度予算:概要(その3)
NEDOワシントン事務所
松山貴代子
2005年2月21日
(2005年3月11日修正)
2006年度の大統領予算案は、国防省の研究開発(R&D)さえも0.6%増額に抑えるという厳しい内容になっているが、この支出制約の下で唯一大幅増額を受けているのが、国土安全保障省(Department
of Homeland
Security)である。このレポートでは、全体予算が6.6%、R&D予算が23.8%増額される国土安全保障省;5ヵ年予算倍増認可法に沿って増額されるどころか、緊縮予算の為に予算が縮減傾向にある全米科学財団(National
Science
Foundation);ブッシュ大統領在任中は先端技術計画(Advanced
Technology
Program)の廃止提案を免れえないであろう商務省;スペースシャトル打上げ再開予定日(今年5月15日)を発表したばかりの米航空宇宙局、および、省庁間R&Dプログラムについて概説する。
■ VII. 国土安全保障省
国土安全保障省(Department of Homeland Security =
DHS)の2006年度予算は、2005年度予算レベルの6.6%増で341億5,000万ドル。国防省も含め、他省庁のR&D予算が殆ど前年度並みまたは削減となっているのに対し、DHSのR&D予算だけは、基礎研究、応用研究、開発、施設・設備という全費目が増額され、前年度比2億8,200万ドル(23.8%)という大幅増で14億6,700万ドルまで引き上げられている。同省R&D予算の内訳は下記の通り:
(単位:100万ドル)
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2005年度
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2006年度要求
|
2006年度 対 2005年度
|
|
基礎研究
|
85
|
112
|
27増 (31.8%増)
|
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応用研究
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346
|
399
|
53増 (15.3%増)
|
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開発
|
599
|
746
|
147増 (24.5%増)
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施設・設備
|
155
|
210
|
55増 (35.5%増)
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合 計
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1,185
|
1,467
|
282増 (23.8%増)
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DHS予算のハイライト:
- DHSでは、運輸保安局(TSA)、沿岸警備隊(USCG)、税関・国境警備隊、情報分析・インフラ保護部(Information
Analysis and Infrastructure Protection
Directorate)における研究・開発・実験・評価活動を科学技術部(Science
and Technology
Directorate)の下に一本化する予定で、この合理化予算として今回限りの1億2,750万ドルを要求している。科学予算部の2006年度予算は、前年度比22.7%(2億5,300万ドル)増の14億ドル。科学技術部の2006年度イニシアティブは下記の通り:
- DHSでは、生物兵器の脅威に対する米国の対応能力強化を目的とする国立バイオ・農業防衛施設(National
Bio and Agridefense
Facility)に2,300万ドルを計上。
- 特定環境に放出された化学兵器媒介物を探知する能力を開発する低揮発物質警報システム(Low
Volatility Warning System)に2,000万ドルを配分。
- 米国航空会社の飛行機に携帯型対人航空防衛システム(Counter-MAN
Portable Air Defense
Systems)を納入および設置するイニシアティブに4,900万ドル。
- 放射能・核兵器対応策/国内核探知局の予算は倍増され、2億4,640万ドル、内、900万ドルは放射能・核兵器対応施策実験評価施設(Rad/Nuc
Countermeasures Test and Evaluation
Complex)に計上される。
- 同省の重要インフラストラクチャー保護(Critical
Infrastructure
Protection)投資額は2,080万ドルで、前年度より23%の削減となるほか、サイバーセキュリティの予算も9.4%削減の1,670万ドルに引き下げられる。
■ VIII. 全米科学財団
ブッシュ大統領は全米科学財団(National Science Foundation
=
NSF)の2006年度予算として、前年度の54億7,000万ドルを1億3,500万ドル(2.4%)上回る56億500万ドル(注:1)要求している、しかしながら、NSF予算は2005年度に2004年度比3.2%の削減を被っているため、2006年度予算要求額は2004年度レベル(56億5,200万ドル)と比較すると、4,700万ドルの縮減となっている。同財団の研究開発(R&D)予算は41億ドル9,400万ドルで、2005年度より1億1,200万ドル(2.7%)増額。但し、増額の大半は施設・設備への計上であり、殆どの研究部局(research
directorate)は約1%という微増か前年度並みに抑えられている。一方、教育・訓練プログラムは2年連続の大幅削減となっている。NSFのR&D予算内訳は下記の通り:
(単位:100万ドル)
|
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2005年度
|
2006年度要求
|
2006年度 対 2005年度
|
|
基礎研究
|
3,432
|
3,480
|
48増 (1.4%増)
|
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応用研究
|
279
|
276
|
3減 (1.1%減)
|
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施設・設備
|
371
|
438
|
67増 (18.1%増)
|
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合 計
|
4,082
|
4,194
|
112増 (2.7%増)
|
NSF予算のハイライト:
(1) 主要な研究関連活動
- 省庁間プログラムである国家ナノテクノロジー・イニシアティブ(National
Nanotechnology
Initiative)へのNSF投資は前年度比555万ドル(1.6%)増の3億4,377万ドルとなるほか、ネットワーキング・情報技術R&D(Networking
and Information Technology Research and
Development)予算も834万ドル(1.0%)増額で8億324万ドルに引き上げられる。一方で、気候変動科学プログラム(Climate
Change Science
Program)へのNSF予算は昨年に続く削減で、前年度レベル100万ドル(0.5%)減の1億9,688万ドル要求となっている。CCSP予算の内、1億7,188万ドルが長期的研究目標を支援する米国グローバルチェインジ研究計画(U.S.
Global Change Research
Program)に、残りの2,500万ドルが短期目標を支援する気候変動研究イニシアティブ(Climate
Change Research Initiative)に配分される。
- エンジニアリング部(Engineering
Directorate)に盛り込まれた中小企業革新研究プログラム(SBIR)と中小企業技術移転プログラム(STTR)への予算は、前年度より257万ドル(2.5%)多い1億533万ドル。
- 植物ゲノム研究プログラム(Plant Genome Research
Program)の予算は前年度と同額の9,424万ドル。
- 2005年度予算では、学究や新発見の最前線で突如出現する活動に迅速に対応するため、技術革新基金(Innovation
Fund)の新設および予算500万ドルが提案されていたが、2006年度予算案には、同基金に関する記述がみあたらない。
(2) 主要な教育関連プログラム
- EPSCoR(Experimental Program to Stimulate Competitive
Research)計画予算は、昨年削減となったが、2006年度予算では前年度比32万ドル(0.3%)増の9,400万ドルを要求。
- 米国の有望な科学・数学・工学専攻大学院生を支援する「大学院研究フェローシップ(Graduate
Research
Fellowships)」の予算は、10万ドル(0.1%)増額で9,660万ドル。
- K-12までの全学生の数学・科学の能力向上を目的とする「数学・科学パートナーシップ(Math
& Science
Partnerships)」の予算は、前年度より1,940万ドル(24.4%)少ない6,000万ドルに削減されるほか、「学科・教育課程・ラボ改善(Course,
Curriculum & Laboratory
Improvement)」予算も1,440万ドル(15.3%)削減で8,000万ドルまで引き下げられる。更に、科学・技術・工学・数学(STEM)分野で学位を取る米国市民および米国永住者の増数を目的とする「STEM人材育成拡充計画(STEM
Talent Expansion
Program)」も28万ドル(1.1%)削減で2,500万ドルとなる。
(3)
学際的研究の奨励、および、諸学間横断的(cross-disciplinary)研究や教育の統合を通して科学・工学の前進を図るNSFの主要センター
- 科学技術センター(Science and Technology
Centers)には前年度より200万ドル(3.8%)多い5,389万ドル、学習プロセスの理解を深めるために学際的センター等を支援する学習科学センター(Science
of Learning
Centers)予算は15.9%(316万ドル)増で2,300万ドル、ナノスケール科学工学センター(Nanoscale
Science & Engineering
Centers)予算も前年度比83万ドル(2.4%)増の3,512万ドルまで引き上げられる。また、材料研究科学工学センター(Materials
Research Science and Engineering
Centers)にも前年度より100万ドル(1.75%)多い5,800万ドルが要求されている。
- 植物ゲノム・バーチャルセンター(Plant Genome Virtual
Centers)と長期生態学研究(Long-Term Ecological
Research)プログラムの予算は前年度と同額で、各々、3,600万ドルと2,278万ドル。一方、革新パートナーシップ(Partnerships
for
Innovation)は42万ドル(4.2%)削減され950万ドルまで引き下げられる。
(4) 国土安全保障関連活動
- NSFの国土安全保障関連R&D予算は2005年度レベルを200万ドル(0.6%)上回る3億4,400万ドル。この内の約80%が重要インフラストラクチャー保護(Critical
Infrastructure
Protection)に関連する様々な活動に充てられている。
■ IX. 商務省
2006年度の商務省全体予算は94億ドルで、2005年度予算(63億3,000万ドル)より30億7,000万ドル(48%)という大幅増額となっているが、これから、新設が提案されている米国コミュニティ増援イニシアティブ(Strengthening
Americaユs Communities
Initiative)(注:2)の37億1,000万ドルという予算を除くと、実際の商務省予算は前年度比5.6%(3億5,700万ドル)減の59億7,300万ドル(注:3)に縮小する。同省のR&D予算は2005年度より1億2,100万ドル(10.7%)少ない10億1,300万ドルという要求で、基礎研究が1,300万ドル(22.4%)増額となるのみで、応用研究、開発、施設・設備の予算は軒並み削減となる。今回の削減のかなりの部分は国立標準規格技術研究所(National
Institute of Standards and Technology =
NIST)が負うことになる。商務省R&D予算の内訳は下記の通り:
(単位:100万ドル)
|
|
2005年度
|
2006年度要求
|
2006年度 対 2005年度
|
|
基礎研究
|
58
|
71
|
13増 (22.4%増)
|
|
応用研究
|
825
|
763
|
62減 (7.5%減)
|
|
開発
|
149
|
90
|
59減 (39.6%減)
|
|
施設・設備
|
102
|
89
|
13減 (12.7%減)
|
|
合 計
|
1,134
|
1,013
|
121減 (10.7%減)
|
ここでは、NIST と国立大気海洋局 (National Oceanic and
Atmospheric Administration = NOAA)
の予算について概説する。
1.
NISTの2006年度総予算は前年度予算を1億6,330万ドル(23.5%)下回る5億3.200万ドルで、(i)
科学的・技術的研究事業((Scientific and Technical Research
and Services = STRS);(ii) 産業技術事業(Industrial
Technology Services =
ITS);(iii)研究施設建設(Construction of Research
Facilities = CRF)の3費目に分けられている。
(単位:1,000ドル)
|
|
2005年度
|
2006年度要求
|
2006年度 対 2005年度
|
|
STRS
NIST研究所
マルコム・ボルドリッジ賞
|
378,764
373,372
5,392
|
426,267
420,613
5,654
|
47,503増 (12.5%減)
47,241増 (12.7%増)
262増 (4.9%増)
|
|
ITS
先端技術計画 (ATP)
製造技術普及計画 (MEP)
|
247,943
140,399
107,544
|
46,800
0
46,800
|
201,143減 (81.1%減)
140,399減 (100.0%減)
60,744減 (56.5減)
|
|
CRF
|
72,518
|
58,898
|
13,620減 (18.8%減)
|
|
合 計
|
699,225
|
531,965
|
167,260減
(23.9%減)
|
NIST予算のハイライト:
- R&D予算は2005年度より4,500万ドル(9.8%)削減され、4億1,600万ドル。基礎研究予算は前年度比1,300万ドル(22.8%)増の7,000万ドル、施設・設備予算は2,900万ドル(64.4%)増額の7,400万ドルとなるものの、昨年同様に、応用研究(前年度レベルより3,000万ドル減の2億6,600万ドル(注:4))と開発(5,700万ドル減(注:5)の600万ドル)の予算が大幅削減を受ける。
- NISTの内部研究予算は前年度より3,980万ドル多い3億8,180万ドル。NIST内部研究は、(1)国家ナノマニュファクチャリング・ナノ測定施設(National
Nanomanufacturing and Nanometrology Facility =
N3F)の研究能力向上等を目的とする「製造技術推進(Advances
in
Manufacturing)」;(2)「国土安全保障の為の計量と基準(Measurements
and Standards for Homeland
Security)」;(3)米国の研究界が必要とする計量インフラの提供を目的とする「米国経済・科学の為の新計量ホライズン(New
Measurement Horizons for the U.S. Economy and
Science)」の3つに大きく分類される。
- 「製造技術推進」の予算は前年度より1,960万ドルの増額要求。N3F予算が1,000万ドル、ナノ製造技術研究予算が400万ドル、製造業エンタープライズ統合(Manufacturing
Enterprise
Integration)は160万ドル、そして、計量・標準による世界市場へのアクセス拡大の予算が400万ドル増額となる。
- 「国土安全保障の為の計量と基準」の2006年度予算は300万ドルの増額が提案されている。災害第一対応者(first
responder)およびビルディング向けの基準・指針改善の予算が200万ドル、バイオメトリックス予算が100万ドル増額される。
- 「米国経済・科学の為の新計量ホライズン」予算は前年度より1,720万ドルの増額。バイオシステムと健康の予算が720万ドル、新興科学システムの互換性と安全保証の予算が200万ドル、量子情報科学予算が400万ドル、更に、先進計量技術の能力構築(Building
competence for advanced
measurements)の予算も400万ドルの増額となる。
- 先端技術計画(Advanced Technology Program =
ATP)は特許や刊行論文、および、商用化技術の10〜12%増進に資っしたにも拘らず、ブッシュ政権は再度、ATP廃止を提案している。また、製造技術普及計画(Manufacturing
Extension
Program)への要求額は、6,070万ドル(56.7%)減の4,680万ドルに引き下げられるが、ブッシュ予算案はこの削減理由に触れていない。
2.
2006年度のNOAA総予算は前年度比3億3,200万ドル(8.4%)減の36億ドル(注:6)で、R&D予算も7,100万ドル(11.2%)削減の5億6,500万ドルに引き下げられる。NOAA
R&D予算の内訳は下記の通り:
(単位:100万ドル)
|
|
2005年度
|
2006年度要求
|
2006年度 対 2005年度
|
|
応用研究
|
522
|
487
|
35減 (6.7%減)
|
|
開発
|
68
|
64
|
4減
(5.9%減)
|
|
施設・設備
|
46
|
14
|
32減 (69.6%減)
|
|
合 計
|
636
|
565
|
71減 (11.2%減)
|
NOAA予算のハイライト:
- NOAAの海洋・大気研究局(NOAA
Researchと呼ばれる)への予算要求額は前年度レベルを4,240万ドル(10.5%)下回る3億6,170万ドル(注:7)。気候研究への2006年度予算は1億7,760万ドルで前年度より僅か30万ドルの増額となっているものの、海洋・沿岸線・五大湖リサーチの予算は1億1,860万ドル(前年度比2,830万ドル減)、気象・大気質研究は3,820万ドル(1,270万ドル減)、情報技術・R&D・科学教育の予算は2,740万ドル(170万ドル減)とかなりの削減となる。
- 省庁間イニシアティブの気候変動科学プログラム(Climate
Change Science Program =
CCSP)へのNOAA投資は前年度レベルを46%(5,700万ドル)上回る1億8,100万ドルまで増額される。
- 津波警報ネットワークの拡大に、2005年度予算で1,450万ドル、2006年度予算で950万ドルの総額2,400万ドルを計上。太平洋津波警報ネットワークは現在6ブイ(浮標)であるが、2007年中盤までに32の探知ブイを追加設置する。
■ X. 米航空宇宙局
2006年度の米航空宇宙局(NASA)の全体予算は前年度レベルより2.4%(3億8,590万ドル)の増額で164億5,630万ドル。ブッシュ大統領が昨年1月に発表した有人宇宙探査計画に従い、2005年度予算案ではNASA活動を7つの事業に再編成(注:8)したばかりのNASAであるが、2006年度予算案ではこれを更に再編し、(i)科学ミッション;(ii)探査システム;(iii)航空学研究;(iv)教育プログラム;(v)宇宙活動に組替えている。同局のR&D予算は、2005年度の109億9,000万ドルを5億3,700万ドル(4.9%)上回る115億2,700万ドルとなっているが、これは、2005年に予定されていたスペースシャトル飛行再開の遅延で同計画からフリーになった資金が加算された為である。昨年同様に、応用研究と施設・設備が増額となる一方、開発予算は昨年の増額要求から削減に転じている。また、基礎研究予算は昨年度に続き、前年度比1億6,900万ドル(7.1%)減という大幅な削減になる。NASA
R&D予算の内訳は下記の通り:
(単位:100万ドル)
|
|
2005年度
|
2006年度要求
|
2006年度 対 2005年度
|
|
基礎研究
|
2,368
|
2,199
|
169減 (7.1%減)
|
|
応用研究
|
2,497
|
3,233
|
736増 (29.5%増)
|
|
開発
|
3,727
|
3,511
|
216減 (5.8%減)
|
|
施設・設備
|
2,398
|
2,584
|
186増 (7.8%増)
|
|
合 計
|
10,990
|
11,527
|
537増 (4.9%増)
|
NASA予算のハイライト:
- 科学ミッション部門(Science Mission
Directorate)は、前年度予算にあった宇宙科学と地球科学事業を結合したもので、2006年度要求額は2005年度レベルを5,090万ドル下回る54億7,630万ドルとなっている。同部門は下記の3つのテーマに分けられる:
- 「太陽系探査」の予算は前年度レベルを4,240万ドル上回る19億50万ドル。火星・月ロボット探査予算は前年度比17%増の8億5,800万ドル。
- 「宇宙(The
Universe)」の2006年度予算は100万ドル削減の15億1,220万ドル。ジェームズ・ウェブ宇宙望遠鏡には前年度比19%増の3億7,200万ドル、宇宙に関する理論のテスト・確認を行うBeyond
Einsteinには33%増の5,600万ドルを要求している。
- 「地球-太陽系」の2006年度予算は前年度レベル4.2%減の20億6,360万ドル。NASAの天候・気候・自然災害・宇宙気象予報能力を改善する地球-太陽研究の予算は前年度比3%増の8億4,500万ドル、CloudSat、炭素観測衛星(Orbiting
Carbon
Observatory)、アクエリアスといった次世代地球観測衛星への投資は26%増の1億3,600万ドル。
- 探査システムミッション部門(Exploration
Systems Mission
Directorate)は、前年度の生物・物理研究と探査システム事業を結合したもので、2006年度予算は前年度より4億8,090万ドル(17.9%)少ない31億6,540万ドル。同部門は下記の4つのテーマに分けられる:
- 「コンスタレーションシステム(Constellation
Systems)」の予算は、前年度比113%(5億9,410万ドル)増の11億2,010万ドル。
- 「探査システム研究・技術」は27.2%増で9億1,920万ドル。新技術をスピンアウトまたはスピンインするNASA能力を改善する技術移転パートナーシップ(Technology
Transfer
Partnerships)プロジェクトに3,400万ドルの増額、異色な産学発明者に助成金を給付する目的で昨年新設された百周年チャレンジ(Centennial
Challenges)計画に3,400万ドルの予算を要求している。
- 「プロメテウス原子力システム・技術」の予算は、前年度比26%減で3億1,960万ドル。
- 太陽系を探査する人間の生存に必要不可欠な知識や技術を開発する「人間系研究・技術(Human
Systems Research and
Technology)」の2006年度予算は19.7%減の8億650万ドル。
- 航空学研究ミッション部門(Aeronautics Research
Mission
Directorate)の2006年度予算は前年度比5.9%減の8億5,230万ドル。飛行関連の事故や死亡者数の削減を目的とする航空安全・セキュリティ(Aviation
Safety and
Security)予算は4%増額され1億9,300万ドル、米国航空システムのキャパシティとモビリティを大幅に改善可能な空域システム(Airspace
Systems)の予算は32%増の2億ドル。
- 宇宙活動ミッション部門(Space Operations
Mission
Directorate)の予算要求額は、2005年度レベル比5,860万ドル(0.9%)増の67億6,300万ドル。下記の3つのテーマに分けられる:
- 「国際宇宙基地(ISS)」の予算は、前年度10.8%増の18億5,670万ドル。シャトル飛行再開後のISS組立・運営継続の予算として前年度比7%の16億9,700万ドル、ISS支援の為の必要物資調達や乗組員サービスの予算として1億6,000万ドル。
- スペースシャトルの予算は1,240万ドル削減で45億3,060万ドル。ISS組立支援の為に打ち上げを5回行うが、同プログラムは2010年までに段階的に廃止されることになる。
- 宇宙通信・打上事業・ロケット推進実験・乗組員の健康安全を含む「宇宙・フライト支援」は、前年度比22.6%減の3億7,560万ドル。ロケット推進実験の予算として5%増の6,900万ドル、乗組員の健康安全に25%増の900万ドルが要求されている。
- 教育プログラム部門の予算要求額は、2005年度より4,980万ドル(23%)少ない1億6,690万ドル。
■ XI. 省庁間R&Dプログラム
1. ネットワーキング・情報技術R&D(Networking
and Information Technology R&D = NITRD)
先進演算システムやネットワーク、ソフトウェアや情報管理技術分野における7省庁の研究活動を調整するNITRDの2006年度予算要求額は21億2,700万ドルで、2005年度よりも1億5,500万ドル(6.8%)の減額となる。昨年度は大統領要求額以上の大幅増額を享受(注:9)した厚生省とエネルギー省のNITRD予算が各々、2,200万ドルと2,800万ドルの削減要求となっているほか、NASA予算が昨年に続く減少となる。一方、国防省の予算は2005年度レベルより1,700万ドル引き上げられ、環境保護庁・NSF・商務省の予算も僅かなりとも増額される。NITRDへの最大拠出者であるNSFが、科学工学全分野にわたる基礎研究を支援し、NITRD活動調整でリーダー役を務める一方、他の省庁では各省庁のミッションに適い、しかもひいては国防・国土安全保障といった国家最優先事項に向けた進歩支援に繋がるようなネットワーキング・情報技術の研究開発に力を入れている。但し、NASAでは同局の最重要ミッションニーズを支援するため、インテリジェントシステムやグリッドコンピューティング研究予算を配分し直したため、NASAのNITRD投資は65.1%減と大幅に削減されることとなった。NITRDに参加する連邦各省庁の拠出額は下記の通り:
(単位:100万ドル)
|
|
2005年度
|
2006年度要求
|
2006年度 対 2005年度
|
|
NSF
|
795
|
803
|
8増 (1.0%増)
|
|
国防省
|
277
|
294
|
17増
(6.5%増)
|
|
厚生省(NIH)
|
573
|
551
|
22減 (3.8%減)
|
|
エネルギー省
|
383
|
355
|
28減
(7.3%減)
|
|
NASA
|
192
|
57
|
135減 (65.1%減)
|
|
商務省
|
58
|
61
|
3増 (5.2%増)
|
|
EPA
|
4
|
6
|
2増 (50%増)
|
|
合 計
|
2,282
|
2,127
|
155減 (6.8%減)
|
2. 国家ナノテクノロジー・イニシアティブ(National
Nanotechnology Initiative = NNI)
2006年度のNNI予算要求額は、前年度予算比2.5%減の 10億540万ドル。ナノスケール現象に対する理解を深め、その知識を、医療;製造技術;高性能材料;情報技術;エネルギー供給;環境といった分野の前進に役立てることを目標とするNNIには昨年、米国特許商標局(U.S.
Patent and Trademark
Office)と消費者製品安全委員会(Comsumer Product Safety
Commission)の2機関が新たに加わったが、これはナノテクノロジー商業化活動の重要度が高まったことを示唆するものである。「21世紀ナノテクノロジー研究開発法(21st
Century Nanotechnology Research and Development
Act)」の認可する2006年度NNI予算は、NSFの4億2,400万ドル;エネルギー省の3億4,900万ドル;NASAの3,750万ドル;NISTの7,500万ドル;EPAの605万ドルで計8億8,955万ドルであるが、ブッシュ大統領の同5省庁に対する2006年度要求総額は同法認可額を2億2,300万ドル下回る6億6,600万ドルに留まっており、法案認可額と実際の予算要求額との格差は広がる一方である。NNIに参加する連邦10省庁(注:10)の拠出額は下記の通り:
(単位:100万ドル)
|
|
2005年度
|
2006年度要求
|
2006年度 対 2005年度
|
|
全米科学財団(NSF)
|
338
|
344
|
6増 (1.7%増)
|
|
エネルギー省
|
210
|
207
|
3減 (1.4%減)
|
|
国防省
|
257
|
230
|
27減 (10.5%減)
|
|
厚生省(NIH)
|
145
|
147
|
2増 (1.4%増)
|
|
商務省(NIST)
|
75
|
75
|
±0
|
|
NASA
|
45
|
35
|
10減 (22.2%減)
|
|
農務省
|
3
|
8
|
5増 (166.7%増)
|
|
環境保護庁(EPA)
|
5
|
5
|
±0
|
|
DHS
|
1
|
1
|
±0
|
|
司法省
|
2
|
2
|
±0
|
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合 計
|
1,081
|
1.054
|
27減
(2.5%減)
|
(太字は「21世紀ナノテクノロジー研究開発法」の予算配分対象である5省庁を示す。)
3. 気候変動R&D
(1) 気候変動科学プログラム(Climate Change
Science Program = CCSP):
2006年度のCCSP予算要求額は、2005年度予算を2,700万ドル(1.4%)下回る18億8,600万ドル。昨年に引き続き、CCSPへの最大出資者であるNASA予算(前年度比1億200万ドル減)、および、第二の出資者であるNSF予算(100万ドル減)が削減となるものの、NOAA(5,700万ドル増)とエネルギー省(300万ドル増)および農務省(1,500万ドル増)の予算は増額され、その他省庁の予算は前年度同額となる。NASA、NSF、NOAA、および、エネルギー省の4省庁がCCSP総予算の約90%を拠出している。CCSP予算には、気候モデルシミュレーションの精密度向上等の短期的成果に焦点をあてる気候変動研究イニシアティブ(Climate
Change Research Initiative
= CCRI)の予算も含まれている。CCRIの2006年度予算要求額は、前年度レベルより3,800万ドル(17%)少ない1億8,300万ドルとなっている。CCSP参加各省庁の予算は下記の通り:
(単位:100万ドル)
|
|
2005年度
|
2006年度要求
|
2006年度 対 2005年度
|
|
NASA
|
1,264
|
1,162
|
102減 (8.1%減)
|
|
NSF
|
198
|
197
|
1減 (0.5%減)
|
|
商務省(NOAA)
|
124
|
181
|
57増 (46.0%増)
|
|
エネルギー省
|
129
|
132
|
3増 (2.3%増)
|
|
農務省
|
73
|
88
|
15 増 (20.5%増)
|
|
厚生省(NIH)
|
65
|
65
|
±0
|
|
内務省(USGC)
|
24
|
24
|
±0
|
|
EPA
|
29
|
21
|
1増 (5.0%増)
|
|
スミソニアン協会
|
6
|
6
|
±0
|
|
国際開発局 (USAID)
|
6
|
6
|
±0
|
|
運輸省
|
3
|
3
|
±0
|
|
国務省
|
1
|
1
|
±0
|
|
合 計
|
1,913
|
1,886
|
27減 (1.4%減)
|
(2) 気候変動技術プログラム(Climate Change
Technology Program = CCTP):
大統領の2006年度予算提案では、NITRD、NNI、および、CCSPという3イニシアテイブを省庁間R&D活動の省庁別詳細(Agency
Detail Of Selected Interagency R&D
Efforts)で紹介しているが、CCTPはこれから外れたため、その詳細の把握が困難となっている。ホワイトハウス科学技術政策局(OSTP)発表の2006年度連邦R&D予算ファクトシートによると、再生可能エネルギー・化石エネルギー・原子力エネルギー・エネルギー効率改善や炭素隔離によって温室効果ガス排出を削減する技術の研究・開発・導入・自主プログラムを支援する、CCTPの2006年度予算は29億ドルで、この内の80%がDOEからの拠出になるという。エネルギー省のCCTP当局者によると、2006年度CCTP予算要求の内訳は近々発表される予定であるという。
注釈:
1:2002年12月に成立したNSF予算倍増5ヵ年認可法では、2006年度予算として85億ドルを認めていた。NSF予算倍増法では、2003年度予算として55億3,600万ドル、2004年度で63億9,100万ドル、2005年度が73億7,800万ドル、2006年度が85億2,000万ドル、2007年度で98億3,900万ドルを認可している。
2:連邦政府5省庁に散らばる18の経済・コミュニティ開発支援計画を廃止統合して商務省の下に一括するという、ブッシュ大統領の新イニシアティブ。18計画の総予算は約57億ドルであるが、一本化されて37億ドル1,000万ドルに縮減となる
3:SSTI Weekly Digest Special Federal Budget
Issue February 14,
2005の算出。2006年度商務省予算(94億ドル)から「米国コミュニティ増援イニシアティブ」予算である37億1,000万ドルを差し引くと56億9,000万ドルとなるが、前年度との比較という観点から、同イニシアティブに対する商務省投資額の2億8,300万ドルは商務省予算として計算されている。
4:議会が2005年度予算として大統領予算額を超える2億9,600万ドルを計上したため、2006年度要求額は減額となっているが、2005年度大統領要求額(2億3,200万ドル)と比較すると3,400万ドルの増額となる。
5:90.5%削減となるが、これは2005年度大統領要求1,100万ドルに対して議会が6,300万ドルを認可した為。
6:2005年度大統領予算案のNOAA予算要求額よりは2億ドルの増額である。
7:2005年度大統領予算要求額と比較した場合は、100万ドルの増額となる。
8:宇宙科学;地球科学;生物・物理研究;航空学技術;教育プログラム;探査システム;宇宙飛行の7つ。
9:大統領が2005年度NITRD予算として要求した厚生省予算は3億7,100万ドル、エネルギー省予算は3億5,400万ドルであったが、米国議会はこれを大幅に上回る5億7,300万ドル、および、3億8,300万ドルを計上したもの。
10:新参の米国特許商標局と消費者製品安全委員会のNNIへの拠出額については、2006年度予算案の省庁別詳細表に記述がないため、ここでは昨年同様に10省庁の予算を比較する。
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