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NEDOワシントン事務所
大統領の科学技術諮問委員会(President's Council of Advisors on Science and Technology = PCAST)がオハイオ州クリーブランド市で6月29日に、連邦政府と州政府のR&D協力に関するワークショップを開催した。ここでは、同ワークショップに参加したNEDOワシントン事務所のリサーチャーStephen Loiaconiの作成したメモを基に、パネル I とパネル II の概要を報告する。 ワークショップ開会の辞:科学技術政策局(OSTP)John Marburger局長(兼PCAST共同議長)の発言 米国経済の活力は、価値ある製品が間断なく生まれることによって維持されているため、この流れをイノベーションによって保つことが重要である。また、経済的競争力を保持するためには、パートナーシップが不可欠である。自分は、ニューヨーク州立大学ストーニーブルック校の学長を務めた際に、州政府と産業界の支援を得て病院を建設した他、先端技術の為の新センター設置で州政府と協力した経験がある。こうした活動は、技術集約的な小企業の発展を促し、ロングアイランドの経済を再活性化することに役立った。この経験から学んだ教訓は次の5点である:
資源や専門技術やケーパビリティは、地域毎に格差がある。従って、こうした面で脆弱な州が、成功している州からR&D計画の設定方法を学ぶことが重要である。
パネル I:産官学のインターセクション--成功の要素 A. クリーブランド州立大学Edward Hill教授の発言 イノベーションと経済発展が関係していることは明白であり、大学が優れた科学技術課程を持っている地域が、堅調な雇用や経済成長を享受することになる。大学の研究がビジネスへとスピンオフするケースは大都会で多く、地域のR&D競争力に貢献するのは(重要度の高い順に)下記の5点であると一般に信じられている:
我々の調査は、上記5点の重要度が実際には逆の順序であることを示している。また、新企業をスピンオフする民間テクノロジー会社の役割が過小評価されているほか、地域の競争的優位が数十年に及ぶ辛抱強い投資の成果であることが十分に認識されていない。成功している地域から学ぶべき教訓は次の通り:
イノベーションは、受け入れ体制の整っていない市場に技術が製品を押し込む「技術プッシュ(technology push)」または、製品が技術を市場に引き込む「技術プル(technology pull)」によって推進される。「技術プッシュ」への関心ばかりが高いが、成功するイノベーション・ポートフォリオにはこの双方が必要である。 B. State Science and Technology Institute(SSTI)Dan Berglund会長の発言 連邦政府は、技術をベースにした経済を構築するため、州政府と協力すべきである。技術ベースの経済には、@知的基盤の整備;A知識のスピルオーバー;B物理的な基盤整備;C技術的熟練労働人口;D資本金;Eアントルプルナール文化;F生活の質という7要素が必要である。連邦政府は、これらの一部を提供できるにすぎないため、知的基盤の整備をその主要な役割とするべきである。産官学各界の目標は下記のように分類される:
各界の目標がこのように異なるため、4者間の協力は極めて困難であるが、反面、オハイオ州エジソンセンターやユタ州優良センター、そして、製造技術普及計画(Manufacturing Extension Partnership = MEP)といった成功例も存在する。こうした協力を構築していく上で、連邦政府が直面する主要な課題は下記の通り:
連邦政府だけでなく、州政府も様々な課題に直面している。州政府は現在、技術ベースの経済開発を重視する一方で、高等教育への予算を削減しているが、これにストップをかける必要がある。州政府は、自州経済の特性を理解して自らの強みを活かすような適切な投資を行ない、科学技術投資を支援する高レベルのリーダーシップを維持する必要がある。また、技術投資が長期的なものであることを認識すべきである。 C. ナノビジネス同盟Sean Murdock理事(AtomWorks社創設者)の発言 米国中西部はこの数年間、経済開発のためにかなりの技術投資を行なったにも拘わらず、そのベネフィットを殆ど受けていない。これは、中西部の研究機関で開発された革新技術が全て、西海岸や東海岸へと輸出されてしまうためで、中西部は自らのイノベーションを活用出来ずにいる。私は、AtomWorks社を創設した際に、この傾向を変える努力をした。イノベーションのベネフィットを自ら享受し、地域的技術クラスターが時間と共に成長するためには、エコシステム優先のアプローチが必要であると考えた。エコシステム優先アプローチの目的は、主要プレーヤーを結びつけて整合的な一体(cohesive whole)を形成することで、@研究基盤;A知的資本(著名なリーダー及びトップクラスの化学・材料科学プログラム等);Bスタートアップ企業のクリティカル・マス;C多様な産業界のリーダーシップがこの構成要素となる。この努力の結果、イリノイ州は今では、米国で2番目にナノテクノロジー研究の盛んな州に生まれ変わっている。産業界にとっては、ナノテクノロジー商用化の利益について一般市民やビジネス界及び科学界を啓蒙し、関係者相互間の信頼を構築するためにインターアクションの場やネットワークを提供し、研究機関やナノテク企業および有望な起業家を支援して資源の開発・統合を図っていくことが重要である。 D. ディスカッション 1) SSTI Berglund会長:全米科学財団(National Science Foundation = NSF)の大学間パートナーシップ奨励は称賛に値する。しかしながら、激論が交わされているMEP予算からも明白なように、連邦政府の科学技術支援は、政府の農業助成と比較すると極僅かなものである。更に、中小企業庁(Small Business Administration = SBA)が自らのポートフォリオを見直し、支援の重点をテクノロジー企業に移す必要がある。 パネル II:効果的な州政府科学技術戦略 A. ジョージア研究同盟Michael Cassidy氏の発言 ジョージア研究同盟(Georgia Research Alliance = GRA)は14年前に、ジョージア版のシリコンバレー構築を目的に創設された同盟で、ビジネス・大学・州政府のリーダー達を結びつけ、スタートアップ会社の創設や企業の勧誘、雇用の増進等を行っている。この同盟は、@ビジネス界のビジョンに基づいて結成された官民パートナーシップで;A自社の参加をコミットできる権限を持ったトップ幹部達の集まりで;B非政府的な構造をもち;Cプログラムの策定・調整はしても、プログラムの運営は行わないという特色を持っている。6大学をパートナーに抱えるGRAの戦略は、優良大学の最良の人材に資金を提供するというもので、起業精神に富んだ教授や優秀な大学院生をジョージアの大学へ引き付けることに役立っている。GRA創設後10年目頃から、こうした投資の成果が現れ始めている。こうした成功に貢献しているGRA計画の秘訣には下記が含まれる:
B. オクラホマ科学技術新興センターSheri Stickley所長の発言 オクラホマ州では1980年代前半に、銀行倒産や石油業界不況からの回復を図る新たな経済戦略が必要となり、1987年の経済開発法によって、オクラホマ科学技術新興センター(Oklahoma Center for the Advancement of Science and Technology = OCAST)を設置した。同センターは、@基礎研究や応用研究を支援し;A研究所から企業への技術移転を促進し;B技術革新型企業にシード資本を提供することによって、既存及び新規ビジネスにおけるイノベーションを推進することを目的としている。オクラホマ州はまた、MEP加入機関といった、効果的な基礎研究・技術支援計画を持ち、同州の技術商用化センター(Technology Commercialization Center)は全国的なモデルになっているほどである。オクラホマ州の産業クラスターは、生命科学;情報技術;天候関連技術;航空宇宙に分かれるが、近年ではOCASTのアワード(award)の大半がバイオテクノロジーに授与されている。同州の発展に対する連邦政府研究所の貢献は現在まであまり大きくないものの、OCASTがMEP他の連邦政府支援から利益を得ていることも事実である。連邦政府と州政府の協力関係を下記のように改善することが可能である:
オクラホマ州議会ではまた、技術の移転と商用化を推進する修正法案が先頃可決されており、これによって、大学教授達は自己の研究からビジネスにスピンオフすることが認められることになった。技術ベースの経済開発という概念は順調に広がっているようである。 C. ペンシルバニア大学戦略イニシアティブ部Leslie Hudson副部長の発言 州政府が直面している課題は、次世代の技術を駆使して国家競争力を強化し、イノベーションを推進することであるが、パートナーシップや戦略的投資及び効果的なイニシアティブやプログラムの活用によってこれを達成することが可能である。ペンシルバニア州の成長パートナーシップ(Partnership for Growth)には、科学・技術研究の推進を目的とする大学主導のプログラムと、投資やイノベーション、アントルプルナールシップや新技術によって経済成長を推進する州政府主導プログラムがある。ペンシルバニア州は、生命科学研究への投資にタバコ訴訟の示談金を利用しているほか、新技術を発見段階から商用化へ導く為に幾つかのベンチャー基金も設置している。しかしながら、商用化へのギャップは未だに存在し、移行期(transitional)研究ベンチャー基金が必要となっている。同州では、大学の施設や研究および知的財産に対する企業のアクセス改善、技術プルの活用、労働人口の育成等を通して、地域資源を商用化に向けて結束させている。しかしながら、連邦政府は下記のように、州政府との科学技術協力を更に改善することが可能である:
D. Marburger OSTP局長は、パネリストのコメントの幾つかに下記のように回答した。
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