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NEDOワシントン事務所
ブッシュ政権が2004年2月2日に2005年度大統領予算教書を発表した。2004年度推定予算(1) を約3.5%(810億ドル)上回る総額2兆3,998億ドルという2005年度予算提案は、昨年および一昨年に発表された大統領予算教書同様に、@対テロ戦争での勝利;A国土安全保障の強化;B経済成長と雇用創出の推進という国家三大優先事項を柱とするもので、防衛関連予算が前年度比7%増、国土安全保障関連予算が10%増の要求となっている。防衛関連予算および国土安全保障関連予算を含めた2005年度の裁量的経費(discretionary spending)予算は、2004年度予算を3.9%上回る8,184億ドルに増額されているものの、防衛と国土安全保障関連以外のプログラム予算はインフレ率を下回る0.5%増に抑えられている。一方で、ブッシュ大統領は、No Child Left Behindといった教育改革への予算増額や結婚奨励(marriage promotion)という新規プログラムへの予算計上等を要求しているため、エネルギー・科学的リサーチ・コミュニティー開発・環境・貧困層援助といった現行の非防衛関連プログラムが、大統領の定めた伸び率0.5%維持の犠牲となって、予算削減(2) を受けることになる。 大統領が提案した2005年度の研究開発(R&D)予算は、2004年度推定予算1,260億ドルを約4.7% (59億ドル) 上回る1,319億ドル。ブッシュ政権になってから、防衛関連R&D予算は大幅な増額を享受し、防衛関連R&D予算と非防衛関連R&D予算の間の格差(3) は広がる一方であるが、2005年度予算でもこの傾向が明らかである。1,319億ドルというR&D総予算の内の56.3%にあたる742億ドル(4) (前年度比44億ドル6,100増)が防衛関連R&D(5) への計上であり、残りの577億ドル(前年度比14億4,900ドル増)が非防衛関連R&Dに配分されている。省庁別に見ると、国防省R&D予算が前年度比で7%、国土安全保障省が15%、厚生省(国立衛生研究所)と米航空宇宙局が各4%、運輸省予算が7%の増額となっている一方で、2003年度から2007年度の5年間で予算が倍増されるはずの全米科学財団の予算は僅か3%の増額(6) に留まっている。エネルギー省と環境保護庁の予算はほぼ前年度並みであり、商務省(国立標準規格技術研究所)他の省庁は軒並み削減となっている。 このR&D予算の内で、新たな知識や技術の発見を目的とする研究に充てられる予算は「連邦科学技術(Federal Science and Technology = FS&T)」予算と呼ばれるが、2005年度大統領予算教書に盛り込まれたFS&T予算は、前年度推定予算(606億5,800万ドル)を2億4,500万ドル下回る604億1,300万ドルとなっている。新知識や新技術の発見は、米国の技術革新という伝統を支えるためには必要不可欠のはずだが、科学技術研究を行なっている連邦政府12省庁の内、2005年度予算で増額を受けるのは、国立衛生研究所(前年度比3%増)、米航空宇宙局(1%増)、全米科学財団(3%増)、教育省(6%増)の4省庁だけあり、残り8省庁(7) のFS&T予算は全て、前年度よりも削減されることになる。 2004年度大統領予算教書で3,070億ドルと見積もられていた2004年度の財政赤字は先頃、史上最高の5,210億ドルに上方修正された。2005年度大統領予算教書では、裁量的歳出の伸び率を米国家庭の平均所得増加率である4%以下に抑えることで、2005年度の財政赤字を前年度比30%減の3,630億ドルまで減少できると主張している。また、2009年度までの向こう5年間で財政赤字を2,370億ドル(2004年度の約半分)まで削減するプランも提示している。しかしながら、2005年度大統領予算教書は、2004年9月以降のイラク・アフガニスタン戦争の必要経費(8) や減税恒久化のコスト、ベビーブ−マーの退職に伴なう義務的経費の激増等を考慮していないため、ブッシュ大統領の支持者でさえも、大統領の財政赤字予想があまりにも楽観的すぎるという批判に同意している状況である。 2005年度大統領予算教書ではまた、「未来へのコミットメント」として47のイニシアティブを特記している。主要なイニシアティブは下記の通り:
このレポートでは、エネルギー省の予算概要を報告し、第2レポートで国防省・米航空宇宙局・厚生省・内務省・運輸省を、第3レポートで全米科学財団・国土安全保障省・商務省・環境保護庁、および、省庁間R&Dプログラムの予算概要を報告する。
I. エネルギー省 行政管理予算局(Office of Management and Budget)によって、大統領の行政管理アジェンダ(Presidentユs Management Agenda)達成に向けて最も大きな進歩を遂げたと評価されたエネルギー省(DOE)の2005年度全体予算は、2004年度予算(10) を約10億ドル(4.5%)上回る243億ドルで、DOE史上最大レベルの予算となっている。但し、昨年同様に、ブッシュ大統領の予算案は防衛と国土安全保障が要であるため、防衛関連の核プログラム予算(4.4%増)、核兵器研究・生産施設の浄化活動やウラニウム濃縮施設の管理、そして、恒久的核廃棄物処理施設の建設を含む環境関連予算(9.3%増)がかなりの増額となる一方で、エネルギー関連予算と科学予算はいずれも数千万ドルつづ削減されることになる。エネルギー省全体の予算内訳は下記の通り: (単位:1,000ドル)
エネルギー関連予算の内訳:: 省エネルギーの8億7,593万ドル(前年度比0.2%減);再生可能エネルギー・エネルギー効率化の3億7,481万ドル(4.8%増);化石エネルギーの7億2,890万ドル(9.4%減);原子力科学技術の4億0,959万ドル (1.2%増) ;2005年度予算要求案により新設された送配電(Electric Transmission and Distribution = ETD)(11) の9,088万ドル(12.5%増)となっている。以下、@省エネルギー;A再生可能エネルギー・エネルギー効率化;B原子力科学技術;C化石エネルギー;D送配電の各予算につき解説する。 @ 2005年度の省エネルギー予算は、約205万ドル減額の8億7,593万ドル。前年度予算で約550万ドルの予算削減を受けた耐候化支援計画は、2005年度予算で5,545万ドル(2004年度比18%)という大幅増額を受けるほか、前年度予算でやはり1,655万ドルという大幅削減を被ったバイオマス・バイオ精製R&Dプログラムも117万ドル(15.6%)増額されて868万ドルとなる。また、大統領の水素燃料イニシアティブとFreedomCARの双方を支援する燃料電池技術プログラムは昨年に続く増額で、7,750万ドルまで引上げられている。一方、21世紀トラック・パートナーシップとFreedomCARを支援する自動車技術、分散型エネルギー源、ビルディング技術、産業技術への予算は軒並み削減となっている。省エネルギーR&Dの主要プログラムの予算内訳は下記の通り: (単位:1,000ドル)
自動車技術プログラムの予算削減は、軽トラック用のエンジンR&D計画が終了して燃焼・排出抑制R&D予算が削減されたこと、軽自動車用燃料R&Dに関連する全活動が打ち切られたこと等に起因している。産業技術プログラムの3,497万ドルという大幅な予算削減の一因は、林産・ガラス・鋳造・スチール・アルミニウム・鉱業・化学薬品という特定産業との既存R&Dプロジェクトが完了間近となっているためであり、同分野での新プロジェクトには、エネルギー集約度を大幅削減する可能性をもち、しかも、ブッシュ政権の投資クライテリアに沿ったものが今後選択されることになる。 A 再生可能エネルギー・エネルギー効率化予算には、前年度比4.8% (1,732万ドル) 増の3億7,481万ドルが要求されている。2004年度予算では、水素技術研究以外のプログラム予算を前年度レベル維持または削減としていたブッシュ大統領であるが、2005年度予算では、バイオマス・バイオ精製R&D、ソーラー・エネルギー、および、DOE国立研究所の研究開発活動を支援する施設・基盤整備を除き、全てのプログラムを若干なりとも増額している。再生可能エネルギー・エネルギー効率化の主要な研究開発関連予算の内訳は下記の通り: (単位:1,000ドル)
バイオマス・バイオ精製R&D予算の1,388万ドル削減は、小規模モジュラー型バイオ発電プロジェクトの閉鎖、バイオマス原料利用合成ガス生産のコスト削減を目標としたプロジェクトの中止等を反映している。300万ドルという新規予算を受けるNCCTI競争公募プログラムは、温室効果ガス排出を削減もしくは隔離する革新的な応用研究の調整・推進を行う省庁間努力の一環であり、ブレークスルー技術の必要な最優先分野における気候変動R&Dプロジェクトに競争ベースで、グラントを授与することになる。 B 原子力科学技術予算は全体で、前年度予算4億482万ドルを477万ドル上回る4億959万ドルまで引き上げられている。ブッシュ大統領は、原子力発電を米国燃料ミックスの重要な一要素と見なしているにも拘わらず、原子力科学技術の研究開発予算には、2004年度予算を3,394万ドル下回る9,605万ドルを要求するに留まっている。研究開発費目で増額を受けているのは、第四世代原子力システム・イニシアティブ(Generation IV Nuclear Energy Initiative)で、2005年度予算は前年度比10.1%増の3,055万ドルを計上されている。また、経済的かつ環境に優しい方法で水素を大量生成する新技術を開発することを目的とする原子力水素イニシアティブ(Nuclear Hydrogen Initiative)の予算も、41.4%(262万ドル)増額され、900万ドルまで引上げられる。一方で、原子力発電所最適化プログラムと核エネルギー研究イニシアティブが廃止されたほか、核燃料サイクルの実現に必要な技術を研究開発する先端燃料サイクル・イニシアティブ(Advanced Fuel Cycle Initiative)も前年度比で2,046万ドル(30.7%)削減されている。 C 化石エネルギー計画の全体予算は、2004年度予算比7,575万ドル減の7億2,890万ドル。2004年度予算では増額された化石エネルギーR&D予算も、2005年度予算要求では3,697万ドル(5.5%)削減され、6億3,580万ドルとなっている。但し、埋蔵量が2,700億トン以上と推定される米国の石炭資源は、米国のエネルギー供給確保にとって不可欠な要素となるため、この豊富な国産資源を利用した効率的かつ環境に優しい発電に必要な技術を研究する「大統領の石炭研究イニシアティブ(Presidentユs Coal Research Initiative)予算」は、前年度レベルを6,862万ドル(18.1%)上回る4億4,700万ドルに増額されている。同イニシアティブの予算内訳は下記の通り:
D 送配電(ETD)計画の2005年度全体予算は、前年度予算(8,082万ドル)を1,006万ドル上回る9,088万ドル。ETD計画の目標は、研究・開発・実証・技術移転、そして、啓蒙やアウトリーチ活動を産官学共同で行なうことにより、停電の発生や影響を最小限に抑え、確実な電力供給の保証を図るというもので、(1)研究開発プログラムに前年度比621万ドル増の7,568万ドル;(2)電気事業再編プログラムに前年度193万ドル減の500万ドルを配分している。研究開発プログラムでは、高温超伝導R&D(前年度比1,090万ドル増の4,500万ドル)やエネルギー貯蔵R&D(500万ドル減の400万ドル)等の既存プロジェクトを継続するほか、昨年8月14日に米国北東部を中心として発生した大停電を教訓として新たに設けられた2つのプロジェクトにも着手することになる。新規プロジェクトは下記の通り:
エネルギー省の科学関連予算: ブッシュ大統領は2004年度のDOE科学関連予算として、2003年度並みの33億1,094万ドルを要求していたが、米国議会は、生物・環境研究、基礎エネルギー科学、および、先端科学演算研究に大統領の要求額以上を計上し、2004年度の科学関連予算を前年度比1億7,793万ドル増の35億17万ドルまで引き上げていた。ブッシュ大統領は、2005年度予算案でこれを6,845万ドル削減し、34億3,172万ドルとすることを提案している。科学関連予算の主要費目の内訳は下記の通り: (単位:1,000ドル)
科学関連予算のハイライト:
注釈:
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