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(その2) NEDOワシントン事務所 前回のレポートでは、10月13日から10月15日までペンシルバニア州フィラデルフィア市で開催された、SSTI第8回会合「テクノロジーベースの経済開発(Technology Based Economic Development = TBED)」について、連邦政府の研究開発予算;連邦政府のテクベース労働者養成プログラム;州政府の支援と地域的協力、の3セッションを概説した。ここでは、ナノテクノロジーの将来;公衆のナノテク懸念に対する認知と対応;製造業の将来 について報告する。 II. テーマ別セッション D. ナノテクノロジーの将来 同セッションでは、ナノビジネス同盟 (NanoBusiness Alliance = NBA)(1) 幹部のSean Murdock氏が、ナノテクノロジー・デバイスの将来市場や用途、および、ナノテク産業が原動力となって起こる経済ブームと過去の技術バブルとの相違点を、そして、ベン・フランクリン技術パートナー(2)のRoseanne B. Rosenthal所長が、ナノテク産業を経済開発戦略の一環として育てようとする地域的アプローチについて概説した。 ナノビジネス同盟 Sean Murdock氏の発言: ナノテクノロジーは、情報技術 (IT) やバイオテクノロジーのような過去の技術ブームとは異なるタイプの産業革命になるであろう。先ず、IT製品とは違って、ナノテク製品は特許で保護されるほか、市場参入に際して直面する障壁も、バイオテクノロジーのそれより遙かに低いと見込まれている。また、ナノテクノロジーに付随する懸念の一つとして、社会への悪影響が取り沙汰されているが、我々はアスベストスのような厄介な材料から既に教訓を学んでおり、現行のモニタリング基準でこうした問題を予防することも可能である。加えて、ナノテクノロジーのライフサイクルに付随する潜在的リスクは、製品の大量生産とマーケティング以前の段階で研究・解明されるため、環境面および経済面での被害のリスクは著しく低減されることになる。ナノビジネス同盟では、下記の4カテゴリーに分けて、ナノテク製品の開発スケジュールを設定している: (1) 被膜 (coating) と粉末 … 短期的なポテンシャルが最も高い分野で、既に、サンスクリーンや自動車の防食塗料といった製品が市場化されている。 ベン・フランクリン技術パートナーのRoseanne Rosenthal所長の発言: ナノビジネス同盟のような全国規模同盟にとどまらず、初期立上げ段階の企業を対象とする州政府・連邦政府の支援を活用して、経済開発戦略としてナノテク産業を発展させようという地域アプローチが中部大西洋諸州で増加している。国家ナノテクノロジー・イニシアティブ (NNI)、及び、技術会社と大学を対象とした州政府支援が、各州の主要地域で技術クラスターの構築を促進しているほか、地域的ネットワーキングが各クラスターの専門化を推進し、これによって、技術クラスターは競合するのではなく、共に成長することが可能となっている。このアプローチの具体例が、ペンシルバニア・ニュージャージー・デラウェアの3州ネットワークである中部太平洋ナノテクノロジー同盟 (MANA) である。MANAの目的は、他国との競争に備えて、同地域をナノテク研究のハブにすることであり、具体的には、資金の誘致、および、政策や投資決定のための資料策定を行っている。米国商務省の経済開発局 (EDA) は先頃、MANAを発展させるため、ペンシルバニア州のベン・フランクリン技術パートナー、ニュージャージー科学技術委員会、デラウェア技術パークに各々29.5万ドルのグラントを給付したところである。 E. 公衆のナノテク懸念に対する認知と対応:ナノサイエンス技術研究コンソーチアム (サウスカロライナ州) の文化人類学者Christopher Toumey氏の発言 ナノテクノロジーが大産業へと発展する際の一般市民の反応を語るには、常温核融合と組換えDNAという過去の技術ブレークスルーに対して国民が示した反応が参考になる。常温核融合はその欠点が明白になるまで、世界のエネルギー・環境問題に対する解決策として歓迎された一方、生体から抜き取った遺伝子を他の遺伝子と結合させるという組換えDNAの方は、神を気取る危険な企てであると批判された。このような前例やナノテクノロジーのように、社会的意味を持つ新発見はいづれも、科学的メリットよりもむしも既存の文化的価値に基づいて歓迎されたり、恐れられたりするものである。従って、新技術の適切な採用を可能にするのは、科学者ではなく、政策策定者であると言える。ナノテクノロジーに対する公衆の反応は下記の4つのカテゴリーに分類される: (1) ナノ渇望 (Nanophilia) 同カテゴリーに属すのは、ナノ医療を寿命の無期延長手段であると考える「ポストヒューマニスト」、人間の意識をコンピュータにアップロードする可能性を想像する「完全な夢想家」等を含む、非常な理想家達で、ナノテクノロジーをポストヒューマン進化(post-human evolution) へのツールと見なしている。 (2) 適度の熱意 ナノテクノロジーが材料科学・情報技術・医療に近々影響を与えると見ている人々で、新技術のもたらす利益を歓迎し、現行のモニター方法や認可過程によって、付随するリスクを回避できると確信している。米国政府がこのカテゴリーに属す。 (3) 適度の懐疑 大半の米国の科学者や科学文筆家 (scientific writer) がこのカテゴリーに属す。ナノテクノロジーの重要性を評価する一方で、同技術のもたらす潜在的影響を嫌悪している。 (4) 極端なナノ恐怖症 (Extreme Nanophobia) ナノテクノロジーが引き起こしうる最悪の環境災害シナリオを予測する人々で、カナダのETCグループ、英国のチャールス皇太子や英国王室等がこの代表である。同カテゴリーに属す人々は、Michael Crichton著の小説「Prey」にあるような、自己形成ナノマシーンが世界を破壊するという未来を想像する。 政策面から見ると、論議を両者の中間地点、つまり、適度の熱中者と適度の懐疑者が討議して、明白で実践的な規制を判定するというところへ持ち込むことが目標となろう。 F. 製造業の将来:Team NEO最高経営責任者Pat Gammons氏とペンシルバニア州商業経済開発局のRich Overmoyer技術投資担当副局長の発言 Deloitte Consulting社がペンシルバニア州製造業界の動向を調査した報告書を発表した。同調査の結果、および、判明した動向に基づいた将来の製造業界改善戦略は下記の通りである: (1) ペンシルバニア州製造業界の動向 かつてはペンシルバニア州総産出量の約16%を占め、同州最大の雇用主であった製造業界であるが、1998年から衰退傾向となり、2003年には同州最大雇用主の地位をヘルスケアとパブリック・アドミニストレーションに奪われている。同州が1998年以来失った製造部門の雇用は133,330であり、製造業が衰退する運命にあるのならば、同州は他の産業の発展を奨励すべきではないかという意見も出ている。しかしながら、同州は地理的に見て、製造業で比較的優位な立場にあると言える。ペンシルバニア州には、医療機器の製造やオーディオおよびビデオ機器の製造といった中度の技術集約型産業、および、医薬品や化学物質の製造といった高度の技術集約型産業があるが、この内でも特化した16の製造部門は、1998年以降も安定成長を保っている。堅固な製造業者に共通する重大要素は、自らの製造工程を改善する能力であり、モノづくりの革新 (product innovation) を通じて、将来も製造工程を引き続き改善していくことが可能である。 (2) モノづくり革新の実行 モノづくり革新と製造工程の改善を融合させる為には、資本・企業融資;労働者の育成;技術支援;コミュニケーションとリサーチ;政府権力の活用;政府との新関係構築、といったマルチ戦略をとる必要がある。具体策として下記があげられる:
注釈:
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