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(2002/4/24) 平成14年4月24日 はじめに 2月26日〜27日に開催された燃料電池ビジョン・ワークショップに引き続き、燃料電池ロードマップ・ワークショップが4月11日にメリーランド州カレッジパークで開催された。前回の会合では、参加者が産業界の為のビジョンを作成し、その達成に必要な技術的問題を討議し、戦略的目標や活動(action)の優先リストを策定した。今回のロードマップ・ワークショップでは、前回のワークショップで策定された目標や準備的活動を討議し、これを行動計画へと具体化していくためのプロセスが話し合われた。 今年1月9日のAbrahamエネルギー省長官によるFreedomCAR計画の発表、および、大統領の2003年度予算案に盛り込まれた同計画用の1億5,030万ドルの予算要求から、現政権が燃料電池と水素のポテンシャルにかなりの期待を寄せていることが明白である。DOEでは近々、同ワークショップでの討議結果を反映したビルディング用燃料電池ロードマップを発表する予定であるが、これは米国の今後の燃料電池・水素研究開発の動向を知るうえで有用となる。ここでは、4月11日のロードマップ・ワークショップに参加したMario Farrugia (NEDOワシントン事務所リサーチャー) のメモを基に、ワークショップでの主要な発言内容を概説し、水素基盤整備に係わるロードマップ案の概要を紹介する。 I. 主要発言 A) エネルギー省 (DOE) のSteve Chalk水素担当次官補代理の発言:運輸プログラムと水素貯蔵プログラムには重複する部分がある。2003年度DOE予算要求にも、輸送部門への5,000万ドル、水素部門の3,900万ドル、ビルディング用燃料電池への750万ドルが盛り込まれているが、これは改善の必要な問題である。今後の重要な課題は、輸送・水素・ビルディングという3部門の燃料電池計画が相互に関連することを議会に納得させることである。「ビルディング用燃料電池」の商用化は手の届くところまで来ているものの、予算問題 (ビルディング予算が3部門の中で最少)(注1)のために、先行きは決して容易なものでない。従って、輸送・水素・ビルディングという3部門の間の協力が必要不可欠である。 B) 国立エネルギー技術研究所 (National Energy Technology Laboratory) のWayne Surdoval氏の発言:化石燃料は燃料電池で使用すると、その効率が既存の化石燃料利用方法と比べて倍増するため、燃料電池は、輸入燃料への依存度の低下および温暖化ガス排出の削減に有効である。ビルディング用としては、47%の発電効率を持つ円筒型固体電解質型燃料電池(SOFC)が有力視されている。 燃料電池業界における次の大目標は、価格の引き下げである。燃料電池スタックの材料コストは2005年までにキロワットあたり800ドルとなり、主に、長距離用トラックや軍事用途に利用される見込みである。2010年までには材料コストがキロワットあたり400ドルにまで低下し、用途も住宅や工業用にまで拡大する。また、2015年までには、「ビジョン21」が目指す効率75%の燃料電池システムを設置した発電所が稼働するものと期待される。 C) DOE輸送技術部 (Office of Transportation Technologies = OTT) のNancy Garland女史の発言:OTTの目標は、高効率で低(無)公害、価格面でも競争可能で、しかも、在来型燃料および代替燃料で作動する技術を開発することである。燃料電池自動車が既存の自動車よりも高額であることは事実であるが、ガソリン利用の燃料自動車と水素燃料電池自動車の燃費を比較した下記の表からも、燃料電池自動車は燃費面では既存自動車を遥かに上回っていることが明らかである。
今後の技術的課題としては、水素燃料貯蔵システム、水素補給基盤整備;燃料電池プロセッサーの始動時 (スタートアップ) 問題;信頼性・耐久性の問題等があげられる。DOEの輸送関連プログラムでは燃料電池スタックの開発や燃料プロセス・貯蔵研究開発に力を入れ、システム統合の方は今後も自動車メーカーに任せる予定である。 D) DOE水素プログラムのNeil Rossmeissl氏の発言:技術的な問題に取組むだけで、利用が拡大するわけではない。そこで、DOE水素プログラムでは、カリフォルニア燃料電池パートナーシップ・南岸部大気管理局 (SCAQMD)・国際規約評議会 (International Code Council)・運輸省・米航空宇宙局 (NASA) 等と協力して、技術の評価・分析・導入促進にも力を入れている。 水素部門の2002年度主要R&D予算の内訳は、生産技術に776万ドル、貯蔵技術に784万ドル、実用化に374万ドル。「生産」プロジェクトへの提案が豊富であるのに対し、「貯蔵」提案はいつも品不足の感がある。 2002年度の技術評価予算内訳は、再生可能エネルギー利用システムに263万ドル、水素基盤整備に650万ドル、分散型/遠隔地発電に585万ドル。技術評価プログラムの2003年事業としては、ラスベガスでの水素供給ステーションの運営、軽量加圧型水素貯蔵タンクの実証、ハイブリッド型貯蔵システムの実証、0.01グラムという炭素ナノチューブ材料の実証、再生可能エネルギー利用燃料電池の実証が予定されている。
II. 水素基盤整備ロードマップ 同ワークショップは3セッションに分かれ、@材料開発ロードマップ;A部品・システムのロードマップ;B水素基盤整備ロ−ドマップに関する草案が討議された。下記はリサーチャーのMario Farrugiaが参加した水素基盤整備ロードマップのセッションで提示された草案の概要である。
* 研究開発スケジュール
注1 エネルギー省の予算は、エネルギー・水資源開発歳出予算法令(Energy and Water Development Appropriations Act) と内務省・関連省庁歳出予算法令 (Interior and Related Agencies Appropriations Act) に盛り込まれている。燃料電池と水素プログラムの予算は、エネルギー・水資源開発歳出予算法令で計上される。どちらの歳出予算法令でも、議会による法的認可 (statutory authority) を受けていない限りは、異なる省庁間、省内の異なる部署間、および、異なる会計費目間での流用を禁止している。このため、水素や輸送プログラムから予算を移行して、ビルディング用燃料電池の商用化を推進することは全く不可能ではないものの、非常に困難となっている。 Top Page |