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2006年9月前半分 ■ エネルギー・環境・産業技術関連では、以下のような動きがあった 9月13日号 マスコマ社とダートマス大学、セルロース系エタノールを推進するパートナーシップを結成 ダートマス大学とマスコマ社(創設者の一人がダートマス大学のLee Lynd教授で、同大とつながりの深いスタ−トアップ企業)が、先進セルロース系エタノールの研究と商業化のためのパートナーシップを結成した。ダートマス大学とマスコマ社は、セルロース系エタノールの生産コストを大幅に削減する先進的触媒のバイオエンジニアリングに多大な関心を寄せており、パートナーシップでは下記の要素が中心となる:
(Mascoma News Release, August 30, 2006) ナノファイバーを含む生物分解性の吸収ティッシュで、危険物質を即時検出 コーネル大学の研究チームが9月11日、サンフランシスコで開催された米国化学会(American Chemical Society)の第232回年次会合で、ひと拭きするだけでバクテリアやウィルスやその他の危険物質を検出できる生物分解性の吸収ティッシュ(absorbent wipe)について報告した。 コーネル大学の研究チームは、ビタミンBの一部であるビオチン(biotin)、および、タンパク質ストレプトアビジン(protein streptavidin)から成るナノファイバーを開発した。研究チームによると、このナノファイバーに、多種類の生体有害物質や化学物質に対する抗体を包含させれば、吸収ティッシュのナノファイバーに含まれた抗体が、標的の物質に付着して、変色等の効果によって標的物質の存在を明らかにすることになるという。ナノファイバーは、トウモロコシから作られた高分子化合物(polymer compound)を利用することで、既存の紙製品に組み込むことが可能となるため、コストも低額に抑えられるという。 コーネル大学のMargaret Frey助教授によると、この吸収ティッシュが実用化されるのは未だ数年先のことではあるものの、理論上は、この方法で、鳥インフルエンザ、狂牛病、または、炭疽病を始めとするあらゆる危険を即時に検出することが可能であるという。(AZONano.com, September 12, 2006)
9月11日号 環境保護庁、新排出源査定(NSR)プログラムの改正案を発表 環境保護庁(EPA) は9月8日に、新排出源査定(New Source Review = NSR)プログラムの新たな規定改正案を発表した。今回発表された改正案は、施設の改修に係わる認可プロセスを合理化するもので、EPAでは精製能力拡大への投資を助長し、業界の効率を改善し、天然ガスの需要を削減するほか、消費者のエネルギーコストを低減することにもなると期待している。EPAが発表した3つのNSR改正案は下記の通り:
(EPA News Release, September 8, 2006) 石炭火力発電所新設計画反対で結束するテキサス州の市長達 Bill Whiteヒューストン市長(民主党)は、テキサス州に予定されている16件の石炭火力発電所新設計画に反対するため、州内の他都市の市長等と協力していると発表した。ヒューストンやダラスを始めとするテキサス州の17都市が結束した「クリーンエアを求めるテキサス都市連合(Texas Cities for Clean Air Coalition)」では、新設発電所から放出される温室効果ガスが最小にとどめるため、近代的な汚染防止技術の利用を電力会社に義務付ける意向であるという。石炭火力発電所新設に対する反対運動は、今年7月にLaura Millerダラス市長が州内の約50名の市長に書簡を送り、テキサス環境問題委員会(Texas Commission on Environmental Quality)を告訴する訴訟基金を作るために、各都市に1万ドルの拠出を要請したことが契機となっており、Whiteヒューストン市長が活動の陣頭指揮を執っている。 新設予定の石炭火力発電所16件の内の11件を企画しているTXU社は、発電所新設がエネルギーを手頃な価格に留める唯一の手段であると主張する声明書、および、発電所建設を支持する都市・郡・教育委員会・経済委員会のリストを発表している。また、TXU社では二酸化炭素排出抑制方法の研究に最高20億ドルを費やす計画であるという。(Greenwire, September 5, 2006) 予想以上のエタノール需要拡大で、トウモロコシの大幅増産が必要 上院環境公共事業委員会が9月6日に開催した連邦政府の再生可能燃料プログラムを検討する公聴会で、農務省のKeith Collins主席エコノミストは、現行レベルの飼料・輸出用トウモロコシ需要を維持しながらも、増大するエタノール燃料需要に対応していくためには、2010年までに9,000万エーカーの土地をトウモロコシ栽培に充てる必要があると証言した。 農務省が今年2月に発表した『農産物市場長期見通し』では、2012-13作物年度のエタノール生産量を約75億ガロンと推定。これには、トウモロコシが27.5億ブッシェル(因みに、2006-07作物年度は21.5億ブッシェル)、作付け面積が8,500万エーカー(2005年は8,180万エーカー)必要となるが、1エーカー当たりの産出高の伸び(2005年の148ブッシェル→2012年に158.5ブッシェル)、および、作付け面積の拡大によって、増大するエタノール需要と輸出需要を十分に満たすことが出来ると分析していた。 Keith Collins氏によると、エタノール生産が農務省の長期見通しを超えることはほぼ確実であって、この分析は既に古すぎるため、農務省では今冬に新たな分析を発表する予定であるという。農作物市場がバイオ燃料生産の急増に適応する能力について、Collins氏は当面の間の結論として下記をあげている:
(Statement of Keith Collins, September 6, 2006; Greenwire, September 8, 2006)
9月8日号 エネルギー省、水素の生産・利用を狙ったプロジェクト6件にグラント給付 エネルギー省(DOE)は9月7日、ブッシュ大統領提案の水素燃料イニシアティブ(Hydrogen Fuel Initiative)の一環として、水素生産と水素利用を推進するコスト分担型の研究開発プロジェクト6件にグラントを給付すると発表した。今回選定されたプロジェクトは総額1,800万ドルで、DOEが1,290万ドル、産業界のパートナーが490万ドルを拠出する。6件のプロジェクトの関心領域は、下記の二つに大分される:
今回選ばれた機関とプロジェクトの概要は下記の通り:
(DOE Fossil Energy Techline, September 7, 2006) 環境保護庁、再生可能燃料使用基準(Renewable Fuel Standard)を実施する新規制を提案 環境保護庁(EPA)が9月7日、「2005年エネルギー政策法(Energy Policy Act of 2005)」の定める再生可能燃料使用基準(renewable fuel standard = RFS)(注:1)を達成するための新規制 『燃料および燃料添加物規制:再生可能燃料使用基準プログラム(Regulation of Fuels and Fuel Additives: Renewable Fuel Standard Program)』を発表した。新規制では、2007年に米国内で販売されるガソリンの3.71%を再生可能燃料で賄うことを提案しているほか、エネルギー情報局(Energy Information Administration)のエネルギー予測を基にして算出したガソリン推定販売量に基づき、2008年のRFSを4.22%、2009年を4.72%、2010年を5.21%、2011年を4.82%、2012年を4.85%と見積もっている。EPA発表のRFSプログラムが提案する主要事項は下記の通り:
EPAでは、2006年10月13日に公聴会を予定しているほか、一般からのコメントを2006年11月12日まで受付ける。最終規制の発行は2007年初旬と見込まれている。(EPA Press Release, September 7, 2006; Greenwire, September 7, 2006; Regulation of Fuels and Fuel Additives, September 2006)
1:同法令の定める再生可能燃料使用量は、2006年で40億ガロン、2007年が47億ガロン、2008年が54億ガロン、2009年は61億ガロン、2010年が68億ガロン、2011年が74億ガロンで、2012年には75億ガロン。 2:例えば、1,000ガロンのバッチを二分した場合、一つ目の小バッチの出発点は000001、二つ目の小バッチの出発点は000501となる。
9月6日号 全米科学財団、5つの新たな工学研究センターに7,530万ドルを給付 全米科学財団(National Science Foundation = NSF)が、工学研究センター(Engineering Research Center = ERC)グラントで新たに支援する5つのセンターを発表した。グラント総額は7,530万ドル。新センターでは、主要な社会的問題を取り上げ、新産業の基盤を提供する技術を推進する分野横断的な(cross-disciplinary)研究プログラムの確立に務めることになる。この5センターが加わることにより、NSFが支援するERCsは合計22センターとなる。新たに選定されたセンターは下記の通り:
(SSTI Weekly Digest, September 4, 2006) エネルギー情報局、下院の地球温暖化防止法案は経済にマイナスとなる可能性があると報告 エネルギー情報局(Energy Information Administration = EIA)が発表した新報告書 『下院第5049号議案「アメリカの競争力を保つ地球温暖化防止政策法」がエネルギーおよび経済面に与える影響(Energy and Economic Impacts of HR 5049, the Keep America Competitive Global Warming Policy Act)』によれば、Tom Udall下院議員(民主党、ニューメキシコ州)とTom Petri下院議員(共和党、ウィスコンシン州)が今年序盤に超党派で下院本会議へ提出した地球温暖化防止法案は、法制化されれば経済にマイナスの結果をもたらす可能性があるという。同報告書では、下院第5049号議案によって経済がどのように変化するかを総合的に分析している。EIAの主要な調査分析結果は下記の通り:
(EIA Congressional Response Report, September 5, 2006) 1:法案が法制化されなかった場合と比べ、温室効果ガスの排出は2020年に10%、2030年には11%減少する。 2:1トンあたり推定8ドルから10ドル。
9月1日号 エタノール燃料業界の目覚しい成長で、エネルギー政策法の定めるエタノール生産目標を早くも突破 エタノール燃料業界の急成長はめざましく、現時点でその生産能力は「2005年エネルギー政策法(Energy Policy Act of 2006)」の定めた2006年の再生可能燃料使用基準(Renewable Fuels Standard = RFS)である40億ガロンを既に越えているという。 「2005年エネルギー政策法」の定めるバイオ燃料生産量は、2006年で40億ガロン、2007年で47億ガロン、2012年までに75億ガロンであるが、再生可能燃料協会(Renewable Fuels Association = RFA)は先頃のプレスリリースで、米国各地に現存するエタノール施設101ヵ所の生産能力は既に2007年目標を上回り、年間48億ガロンに達していると報告している。また、現在新設されているエタノール工場41ヵ所と拡張中の7工場が完成すれば、新たに28億ガロンの新規容量が加わり、年間生産量は76億ガロンで、2012年目標を突破することになるという。 (DOE News Release, August 30, 2006) カリフォルニア州議会、温室効果ガス排出の削減を義務付ける法案を可決 Arnold Schwarzeneggerカリフォルニア州知事(共和党)が8月30日に「2006年地球温暖化解決法案(Global Warming Solutions Act of 2006:州議会法案第32号)」に関して、州議会下院のFabian Nunez議員(民主党)とFran Pavley議員(民主党)および上院のDon Perata議員(民主党)と合意に達したことを受け、同州の上院議会は直ちに同法案を23対14で可決、翌日31日には下院議会もこれを46対31で可決した。Schwarzenegger州知事の署名によって同法案が法制化されれば、カリフォルニア州は米国において、温室効果ガス排出を規制する州政府第一号となる。 同法案は、2020年までに同州の温室効果ガス排出量を1990年水準まで削減することを義務づけるもので、発電所や石油精製所やセメント工場といった州内最大の産業排出源を対象とする。同法案ではカリフォルニア州大気資源局(California Air Resources Board = CARB)に対し、下記の実施を義務づけている:
(Wall Street Journal, August 31, 2006; Office of the Governor's Press Release, August 30, 2006; AB32 Enrolled, August 31, 2006)
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