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2006年8月後半分 ■ エネルギー・環境・産業技術関連では、以下のような動きがあった 8月30日号 ブラジルのバイオ燃料会社、バイオケロシン生産でNASAおよびボーイング社と提携 米航空宇宙局(NASA)、ボーイング社、および、ブラジルのバイオ燃料企業テクビオ社が、バイオケロシン航空燃料の開発を再開する覚書に署名した。 植物油をベースとする航空機用燃料は1980年にテクビオ社によって考案されたもので、1984年にはブラジルで飛行実験も行われたが、その後は研究開発が途絶えていた。しかしながら、石油価格が今年は記録的に高騰したため、バイオケロシンは新たな注目を集めることになったという。 テクビオ社 …ブラジルのセアラ州の州都に本部を置くブラジル最大のバイオディーゼル技術企業… のExpedito Parente社長によると、NASAおよびボーイング社とのパートナーシップは未だ初期段階にあるものの、2008年までにはバイオケロシン特許の取得を期待しているという。(Reuters, August 28, 2006) 地球環境ファシリティー、32のメンバー政府が31.3億ドルの資金補充に合意 地球環境ファシリティー(Global Environment Facility = GEF)は8月28日、メンバー政府(176ヶ国)の内の32政府が向こう4年間で環境プロジェクトにこれまでの最高額となる31.3億ドルを出資することに合意したと発表した。また、GEF基金に補充資金を提供する32ヶ国の内の20ヶ国が、自発的に追加出資を行うことに合意している。GERに補充資金を提供する32ヶ国(下線は自発的追加出資を行う諸国)は、オーストラリア、オーストリア、ベルギー、カナダ、中国、チェコ共和国、デンマーク、フィンランド、フランス、ドイツ、ギリシャ、インド、アイルランド、イタリア、日本、韓国、ルクセンバーグ、メキシコ、オランダ、ニュージーランド、ナイジェリア、ノルウェー、パキスタン、ポルトガル、スロバニア、南アフリカ、スペイン、スエーデン、スイス、トルコ、英国、米国。 GEFグラントは、生物多様性;気候変動;国際水域;土地の劣化;オゾン層;残留性有機汚染物質(persistent organic pollutant)等に関連する途上国のプロジェクトを支援するもので、1992年の創設以来、確かな実績をあげている。(The World Bank Press Release, August 28, 2006) エネルギー省、環境保護団体の代表2名に全米石炭委員会への参加を要請 エネルギー省(DOE)監察総督(Inspector General = IG)室が8月に発表した監査報告により、DOEが、気候問題を専門とする2環境保護団体の代表を全米石炭委員会(National Coal Council = NCC)メンバーに招聘していることが明らかになった。 NCCへの参加招待を受けているのは、天然資源防衛委員会(Natural Resources Defense Council)のDavid Hawkins氏と世界資源研究所(World Resources Institute)のJonathan Pershing氏で、両者はこの招待を受諾するか否かを現在検討しているという。 IG室によるNCC監査は、NCCの委員構成が業界一辺倒で、連邦諮問委員会法(Federal Advisory Committee Act)の義務づけるバランスを欠いていると主張するJoe Lieberman上院議員(民主党、コネチカット州)の要請により実施されたもので、IG監査報告では、NCCのメンバーは殆どが石炭関連業界の代表であって、環境保護団体や消費者団体および公衆衛生機関の代表が極少数であることを確認している。しかしながら、NCC委員構成が法令を満たしているか否かに関しては、この法令が「適切なバランス」の定義を行っておらず、更には、各省庁に対して自省の諮問委員会のバランスを決める裁量をかなり認めているために、決定的な結論を下だすことが出来なかったとしている。 (Greenwire, August 29, 2006)
8月28日号 国土管理局、アイダホ州の風力エネルギープロジェクトを認可 内務省の国土管理局(Bureau of Land Mangement = BLM)が、アイダホ州カッシア郡の4,500エーカーの国有地に最高98基の風力タービンを設置するというCotterel風力プロジェクトに敷設権(right-of-way)を認めたと発表した。200メガワット(MW)の同プロジェクトは、約5万戸の家庭に電気供給するに十分な電力を発電する見込みで、国有地に建設される風力発電プロジェクトとしては、過去25年間で最大規模となる。 Cotterelプロジェクトの敷設権には、風力発電がキジオライチョウや猛禽類および渡り鳥等の野生生物資源に及ぼす影響を軽減する重要な施策も含まれている。この影響軽減計画を策定した、連邦政府および州政府の生物学者から成る省庁間チームは、野生生物への影響を引き続きモニターする予定であるという。 BLMは同プロジェクトを、国有地で最低10,000 MWの電力を水力以外の再生可能資源から発電するという「2005年エネルギー政策法」の定めた目標を達成するための重要な第一歩であると称賛している。(BLM Press Release, August 15, 2006) Rendellペンシルバニア州知事、同州のナノテク研究活動に1,110万ドルの投資を発表 Ed Rendellペンシルバニア州知事(民主党)は8月24日、ナノテクノロジー研究で世界的に著名な自州の科学者や研究者を支援するため、1,110万ドルを投資する予定であると発表した。ベン・フランクリン技術開発公社(Ben Franklin Technology Development Authority) …技術イノベーションの育成;ペンシルバニア州の経済力強化;高給職の創出と維持を目的として設置された州立機関… の大学プログラムから7つの高等教育機関に配分される同投資の内訳は下記の通り:
(Nanotechwire.com, August 24, 2006)
8月25日号 米国公益研究団体、米国が2020年までに温室効果ガスを20%削減することは可能であると報告 米国公益研究団体(US Public Interests Research Group = US PIRG)が8月24日に、米国の温室効果ガス排出削減に向けた議会の現行努力を実現させる方法を説明する報告書を発表した。『課題に対決:米国で地球温暖化汚染を削減する6つのステップ(Rising to the Challenge: Six Steps to Cut Global Warming Pollution in the United States)』という報告書は、2020年までに米国が温室効果ガスの排出量を約20%削減する方法として、次の6つを挙げている。
(US PIRG Press Release, August 24, 2006) ConsumerReports誌のアンケート調査、新車購入における第一の検討事項は燃費 向こう2年間に新車の購入を予定する成人を対象に2006年8月上旬に実施されたConsumerReports誌の調査により、新車購入の際に消費者が検討する第一の事項は燃費であることが明らかになった。この調査ではアンケート回答者の27%が第一の検討事項として燃費を挙げ、それに続いて、信頼性(25%)と購入価格(14%)を挙げている。 ConsumerReports誌はまた、新車の購入を検討する消費者の大半が、代替燃料車の購入を積極的に検討している点も指摘している。ConsumerReports誌が、エタノール混合燃料の燃費は既存ガソリンよりも劣ると見ているのとは裏腹に、フレックス燃料車の購入を検討しているという回答者は51%にのぼったという。回答者の44%はハイブリッド車の購入を検討しており、87%は、ハイブリッド車に対する連邦政府の租税優遇措置がなくとも、ハイブリッド車の購入を検討すると回答している。 しかし、ConsumerReports誌はハイブリッド車について懐疑的であり、現在のハイブリッド車で生まれる燃料節減は、ハイブリッド車の追加料金分を相殺するに足りないという社内調査を公開している。同誌はまた、連邦政府による優遇税制を考慮しても、ハイブリッド車の追加料金分を相殺することにはならないと主張している。(ConsumerReports.org, August 6, 2006)
8月24日号 Romneyマサチューセッツ州知事、エネルギー計画を発表 2008年大統領選の共和党大統領候補の一人と噂されるMitt Romneyマサチューセッツ州知事が8月11日、@エネルギー使用の合理化;Aエネルギー資源の多様化・エネルギー供給の増大;Bエネルギー・インフラの整備;C先進エネルギー技術開発の推進という4つのステップから成る、長期的なエネルギー計画を発表した。Romney州知事によると、この4段階計画の実施で、マサチューセッツ州の住民やビジネスは向こう10年間で推定5億7,500万ドルを節約できるという。Romney州知事が提案したエネルギー計画の概要は下記の通り: A. 消費削減:エネルギー使用合理化と省エネ
B. 再生可能エネルギーの使用増大とエネルギー供給の多様化
C. エネルギー・インフラストラクチャーの整備
D. 先進エネルギー技術
(Massachusetts Governor's Executive Office Press Release, August 11, 2006; Boston.com, August 11, 2006; RenewableEnergyAccess.com, August 15, 2006) 米国の大学院へ新規入学する外国人学生、3年連続で減少 全米科学財団(National Science Foundation = NSF)が2006年7月に発表した『2004年秋時点での理工系大学院生およびポスドク数(Graduate Students and Post-doctorates in Science and Engineering: Fall 2004)』によると、米国の大学院で理工系教育を受ける為に渡米する外国人学生の数は3年連続で減少し、2004年の外国人新規大学院入学者は2003年より7.3%少ない27,486人であったという。2001年と比較すると、外国人の新規大学院入学者は約20%減少したことになる。 また、外国人ポスドクの数も2004年には、2003年の2万人から19,344人に減少している。2004年には米国市民と永住者のポスドクが2003年よりも僅かに増えた(86名増)ものの、外国人ポスドクの減少を相殺するには程遠く、2004年の理工系ポスドクの総数は2003年よりも570人少ない32,886人となった。NSFによると、今回の理工系ポスドクの減少は、1978年以来の出来事であるという。(Manufacturing & Technology News, August 17, 2006)
8月22日号 CRC社の中間報告、エタノール混合ガソリンが引き起こす燃料透過を指摘 自動車の燃料透過(fuel permeation)を実験しているCoordinating Research Council, Inc.(CRC:ジョージア州に本部)は8月11日、カリフォルニア州大気資源局(California Air Resources Board = CARB)開催の燃料ワークショップにおいて実験の中間報告を行ない、少量のエタノールを混合したガソリンは炭化水素の蒸散量を増やすという結果を報告した。 CRCが実験で使用したのは、@2000年型ホンダ・オデッセーの高度蒸着装置(enhanced evap system);A2001年型トヨタ・タコマの高度蒸着装置;B2004年型フォード・タウルスのLEV II 「near zero」蒸着装置;C2004年型クライスラー・セブリングのPZEV(ゼロ・エミッション車として部分換算される車)蒸着装置;D2005年型シェボレー・タホのフレックス燃料システムの5種類。エタノールを含まない燃料(E0)、エタノール5.7%含有燃料(E6)、エタノール10%含有燃料(E10)を使用した実験の結果は、下記の通りであったという。 (単位:mg/day)
旧型車が燃料透過を起こすことは知られていたが、エタノール業界のリーダーを中心とする産業界代表等は、先進技術を導入した新車では燃料透過はごく僅かな量にすぎず、問題にならないと予測していた。CRCでは近々E20での実験を行ない、今年の秋には最終報告書を発表する予定であるという。CARBは現在、エタノール混合ガソリンに起因する燃料透過量を如何にして低減または相殺するかで苦闘しているが、CRCのデータは更なるプレッシャーをかけることになろう。(Inside Green Business, August 21, 2006; CRC E-65-3 Interim Report Summary, August 11, 2006) ミリオン・ソーラールーフ法を成立させたカリフォルニア州 カリフォルニア州議会の上院が8月15日、Kevin Murray上院議員(民主党、ロサンジェルス)とLoyd Levine下院議員(民主党、シャーマンオークス)提案の「ミリオン・ソーラールーフ法案(Million Solar Roof bill:上院第1号議案)」(注:1)を36対4で可決。同法案は8月16日にArnold Schwarzenegger州知事へと送られ、8月21日には州知事の署名によって法制化された。これにより、カリフォルニア州には太陽光発電設備容量3,000メガワットを目標とする米国最大のソーラープログラムが成立したことになる。 同法案は元々、Murray上院議員とJohn Campbell上院議員(共和党、オレンジ・カウンティ)(注:2)によって2004年12月6日にカリフォルニア州議会の上院に提出されたもので、1年半の長い審議を経てようやく可決に至っている。ミリオン・ソーラールーフ法案についてはNEDO Washington Daily Reportでも何度か報告してきたが、ここに可決までの経緯を時宜的に概説する。
1:同法案の概要は、NEDO Washington Daily Reportの2006年8月10日号を参照されたし。 2:Campbell上院議員は2005年に、連邦議会の下院空席を埋める選挙に出馬し、当選。2005年12月に、連邦議会の下院議員に就任した。このため、Campbell議員はソーラールーフ百万件法案の共同スポンサーを中途辞退し、代わって、 Levine下院議員が第一の共同スポンサーとなったもの。
8月18日号 フロリダ大学の研究チーム、ヒトの脳細胞が幹細胞に似た潜在能力を持つことを発見 フロリダ大学McKnight脳研究所の研究チームが、成人の脳細胞から神経前細胞(neural progenitor)と呼ばれる順応性の高い細胞を精錬し、これを培養することに成功したと発表した。研究チームによると、癲癇の手術を受けた患者の脳から抽出したグリア細胞を、一般的な発育促進剤を添加した培養細胞に加えたところ、神経前細胞(neural progenitor)のように作用する細胞が出現し、それが10〜16倍まで分裂増殖したという。この細胞を健康なマウスの脳に移植すると、細胞は新しい環境から手がかりを得て、新たな神経細胞を作り出すことが明らかになったという。 この研究結果は、ヒトの普通の脳細胞が、通常は幹細胞の特徴であると言われている自己再生能力と順応性を備えている可能性を初めて立証するものであり、理論的には、抽出した一個の脳細胞で細胞提供者の脳の全細胞を置換するに十分な脳細胞を培養できることを示唆する。McKnight脳研究所のDennis Steindler博士は、この新しいヒト脳細胞が、パーキンソン病、アルツハイマー病、脳梗塞、その他多くの脳障害の革新的治療に応用される可能性を指摘している。この研究論文「Derivation and large-scale expansion of multipotent astroglial neural progenitors from adult human brain」は、8月16日にオンライン誌 『Development』で発表された。同研究論文は、http://dev.biologists.org/pap.shtmlから入手可能。(University of Florida Press Release, August 16, 2006) 全米科学財団、2004年度の大学研究開発費総額は429.45億ドルに達したと報告 全米科学財団(National Science Foundation = NSF)が発表した『2004年度大学およびカレッジの研究開発費調査(Survey of Research and Development Expenditures at Universities and Colleges. FY 2004)』によると、2004年の理工系分野における研究開発(R&D)費総額は、2003年の400.57億ドルを28.88億ドル(7.21%)上回る429.45億ドルに達したという。大学R&D費は2002年度に10.9%増、2003年度に10.2%増と、2年連続で二桁台の成長を記録したが、今回の一桁台の伸び率は大学のR&Dが減速していることを示している。 州別のトップ10は前年と同様で、カリフォルニア州(57.14億ドル)、ニューヨーク州(33.66億ドル)、テキサス州(28.81億ドル)、メリーランド州、ペンシルバニア州、マサチューセッツ州、イリノイ州、ノースカロライナ州、ミシガン州、オハイオ州の順。 大学別にみると、1位は前年同様でジョンズ・ホプキンズ大学(12.44億ドル→13.75億ドル)。これに前年同様に、カリフォルニア大学(UC)ロサンジェルス校(8.49億ドル→ 7.73億ドル)、ミシガン大学(7.8億ドル→7.69億ドル)、ウィスコンシン大学マジソン校(7.17億ドル→7.64億ドル)と続くが、UC-ロサンジェルス校とミシガン大学のR&D費は前年よりも縮小している。5位と6位は入れ替わり、2004年にはUC-サンフランシスコ校が5位、ワシントン大学が6位となった。注目に値するのはマサチューセッツ工科大学(4.86億ドル→5.43億ドル)で、2003年の17位から12位にランキングを上げている。(SSTI Weekly Digest, August 14, 2006; NSF Survey of Research and Development Expenditures at Universities and Colleges FY 2004, August 2006)
8月17日号 米国北東部7州、cap-and-trade型プログラム実施のための模範規定を発表 地域温室効果ガス先導策(Regional Greenhouse Gas Initiative = RGGI)に参加するコネチカット、デラウェア、メイン、ニューハンプシャー、ニュージャージー、ニューヨーク、および、バーモントの7州が8月15日、発電所の放出する二酸化炭素(CO2)排出を規制する模範規定を発表した。この模範規定は、RGGI参加7州の州知事が昨年3月に発表した同プログラム実施に必要な義務要件の多くを統合したもので、各州政府はプログラムの法律上・立法上の認可獲得への出発点としてこの模範規定を利用することになる。主要な模範規定は下記の通り:
(RGGI News Release, August 15, 2006) カリフォルニア大バークレー校、温室効果ガス排出の上限設定はカリフォルニア州経済を刺激すると報告 カリフォルニア大学バークレー(UC-バークレー)校のDavid Roland-Hoist博士が、カリフォルニア州議会で審議されている「2006年カリフォルニア地球温暖化解決法案(California Global Warming Solutions Act of 2006:州議会法案第32号)」の経済的利益を査定評価する新報告書 『カリフォルニア州の経済成長と温室効果ガス削減(Economic Growth and Greenhouse Gas Mitigation in California)』を発表した。 UC-バークレー校は今年1月に、カリフォルニア気候行動チーム(California Climate Action Team = CCAT)が検討した政策の効果を査定評価した『カリフォルニア州の温室効果ガス管理(Managing Greenhouse Gas Emissions in California)』という報告書を発表(注:1)した。そのフォローアップにあたる今回の調査報告では、バークレーエネルギー及び資源(Berkeley Energy and Resources = BEAR)モデルという最新式の経済予測ツールを駆使して、州議会法案第32号のGHG排出削減目標 …2020年までに同州のGHG排出を1990年水準まで削減… 達成の経済的影響を分析している。新報告書の主要な結論は下記の通り:
(UC Berkeley News, August 2006)
1:同報告書の概要については、NEDO Washington Daily Reportの2006年1月31日号を参照されたし。 Top Page |
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