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2006年2月前半分 ■ エネルギー・環境・産業技術関連では、以下のような動きがあった 2月9日号 エネルギー省、電家製品の省エネ新基準を設定するスケジュールを発表 エネルギー省(DOE)が1月31日に、家電製品省エネ新基準を設定するスケジュールを発表した。この5ヵ年計画では、作業が大幅に遅れている18種の家電製品省エネ新基準の設定、および、2005年エネルギー政策法(Energy Policy Act of 2005 = EPACT 2005)の定める法定義務要件の全てにDOEが如何に対応していくかを概説しているほか、EPACT 2005が義務付ける幾つかのテスト手順の発表日程も提示している。 このたびのスケージュール発表でDOEは、2007年9月までに住宅用暖房炉とボイラ、および、配電変圧器、2008年9月までにスポットエアコンとヒートポンプ、2009年には業務用冷蔵庫や冷凍庫、住宅用皿洗い機や電気・ガスオーブン、蛍光灯ランプや冷たい飲料自動販売機等、2010年には住宅用温水器やプール温水装置等、そして2011年6月までには住宅用衣類乾燥機やセントラルエアコン等と、バックログとなっている全ての規準を発表するという決意を表明している。その一助として、類似製品を1つの規定の下にまとめるなどの効率的なアプローチをとる計画であるという。(DOE EERE News Release, February 2, 2006) クリーンエア新規制、石炭火力発電所500ヶ所を閉鎖に追い込む可能性 コロラド州のエネルギー・コンサルティング企業であるE3 コンサルタント社の資金提供で実施された調査研究によると、窒素酸化物(NOX)や二酸化硫黄(SO2)等の排出に上限を設定するクリーンエア州間規定(Clean Air Interstate Rule = CAIR)を始めとする排出規制や法令の導入は次の事態をもたらすことになるという:
E3コンサルタント社では、二酸化炭素回収装置は在来型石炭火力発電に取り付けるよりも、新規クリーンコール発電所に取り付ける方が遙かに安価であるため、老朽化した発電所の大半が燃料燃焼効率に優れたクリーンコール発電所に取って代わられることになるという見解を発表している。(Planetark, February 2, 2006)
2月6日号 エネルギー予算に盛り込まれた指定交付の激増で、資金不足に追い込まれる国立研究所 全米科学振興協会(American Association for the Advancement of Science)の計算によると、2006年度のエネルギー研究開発予算には、2億6,600万ドルもの指定交付が埋め込まれているという。これは、米国議会によって計上された研究費5ドルのうちの1ドルが、上院または下院議員の選出州へのペットプロジェクトへ流れていることを意味する。 エネルギー省(DOE)のAnn Kolton報道官は、2006年度の再生可能エネルギー・ネルギー効率化代s何は昨年度とほぼ同レベルの11億7,400万ドルであったが、指定交付のほうは昨年度の1億500万ドルから1億6,000万ドルに激増したと語っている。この結果、バイオマス研究資金の50%以上、風力発電研究開発予算の30%以上が指定交付で使い尽くされるという。DOEの国立再生可能エネルギー研究所(National Renewable Energy Laboratory)では、議会指定交付による資金不足が原因で、ここ数日の内に研究者やコントラクターの一時解雇を開始するという。(New York Times, February 3, 2005) ブッシュ大統領の年頭教書演説で活気づく米国自動車メーカー 代替燃料自動車を奨励したブッシュ大統領の年頭一般教書演説に米国自動車業界が支持を表明している。フォード自動車は大統領を賞賛し、エタノール使用に対する支持を表明した。同社はまた、この機を利用して、世界初のハイブリッド電気SUV(スポーツ多目的車)を設計したのは自社であり、この分野で専門知識を有することを宣伝している。一方、ゼネラルモータース(GM)社のスポークスマンもエタノール支持を表明し、エタノールの使用は、燃料多様化の実現に向けて「おそらく最も利用可能な機会の1つ」だと発言している。GM社はエタノールのマーケティングキャンペーンを2月10日に開始する予定であったが、大統領の一般教書演説の効果を最大活用するために数日繰り上げ、2月5日からキャンペーンを開始する。(FuelCellToday.com, February 1, 2006)
2月2日号 Sematech、ニューヨーク州立大学オーバニー校キャンパスに研究開発センターを開設 IBM、Intel、パナソニック、ヒューレットーパッカード等のコンピューターチップ製造会社12社のコンソーシアムであるSematechが、ニューヨーク州立大学オーバニー校(UAlbany)のナノスケール科学工学部に、幅45ナノメートル未満の構造を持つ半導体を生産する極紫外線リソグラフィー(extreme-ultraviolet lithography)に焦点をあてた研究センターを開設すると発表した。UAlbanyナノスケール科学工学部の副学部長でAlbany NanoTech所長でもあるAlain Kaloyeros氏によると、Sematech研究開発センターの契約期間は2008年までで、5,000万ドルが投資される予定であるという。 この新研究センターは、UAlbany NanoTechキャンパスに置かれるSematechセンター(注1)としては第2号となる。オーバニーでのSematech研究センター拡張については、UAlbanyとSematechの安定した戦略的な関係を示すもので非常に意義深いとKaloyeros所長が語っているほか、George Patakiニューヨーク州知事(共和党)も、エンパイアステート・ハイテク回廊を構築する上でニューヨーク州はSematechから1票の信任投票を得たようなものだと発言し、これを歓迎している。(MSNBC.com, January 29, 2006) 上院本会議で石油節減努力の復活を図る民主党議員 上院本会議では2月2日に、「2005年減税延長調整法案(Tax Relief Reconciliation Act of 2005:下院第4297号法案)」の採決(注2)を行うものと見られているが、Maria Cantwell上院議員(民主党、ワシントン州)を始めとする民主党議員数名は、大統領に2025年の日間石油輸入量を約400万バレル削減する計画を策定するよう義務づける石油節減修正法案(注3)をこれに添付する意向であると発言している。 大統領年頭教書演説後の記者会見で、Cantwell上院議員は自己の修正法案と大統領演説との繋がりを強調し、民主党は、中東からの石油輸入75%削減という大統領目標への支持表明手段として、租税調整法案を利用するつもりであると語った。但し、E&E News PM発行時(2月2日昼)では、同修正法案が上院本会議の採決にかけられるのか否か、明らかでない。 米国議会には石油節減条項を支持するかなりの票が存在するものの、ホワイトハウスはこれまで同条項を「裏口CAFE(企業平均燃費)」と呼び、その可決を阻止してきた。ブッシュ大統領が年頭教書演説で75%削減目標を明言したとはいえ、行政府高官は既にこの公言から後退する姿勢をちらつかせている。Samuel Bodmanエネルギー長官はレポーターとの電話会議で、中東石油に関して出た75%削減は、達成可能な「一例」であって、文字通りに取るべきではないと語っている。Cantwell上院議員は、国民はそのようには受け取らなかったと主張し、ホワイトハウスが同問題を撤回しようとしていると批判している。(E&E News PM, February 2, 2006) Obama、Grassley両上院議員、石油会社の再生可能燃料市場関与を調査するよう政府説明責任局に要請 Barack Obama上院議員(民主党、イリノイ州)とChuck Grassley 上院議員(共和党、アイオワ州)が政府説明責任局(Government Accountability Office)に対し、石油会社がエタノール他の再生可能燃料市場の開発を阻止しようとしていないかどうかを調査するよう要請した。 Obama上院議員の事務所では、石油会社の名前やロゴの付いたキャノピーの下や給油ポンプから再生可能燃料を販売することを禁じるという、フランチャイズのガソリンスタンドのオーナーに宛てた某大石油会社のメモを入手したという。両議員はこのメモの発覚を考慮し、主要石油会社が、E85(エタノール85%含有)やB20(バイオディーゼル20%含有)といった再生可能燃料用の給油ポンプの設置を「禁止または抑制する」方針を持っているかどうかを調査するよう政府説明責任局に要請するに至っている。 E85の給油スタンドは現在、全国に約500ヶ所ほどしかなく、しかも、その大半は中西部に集中している。再生可能燃料の唱道者や一部の自動車メーカーによると、エタノール市場拡大に向けた最大の課題はE85ポンプの増設であるという。(Environment & Energy Daily, January 31, 2006) 1:第1号の研究センターは2002年に4億ドルで同キャンパスに開設されている。 2:上院本会議は2月2日夕刻に同法案の採決を行い、66対31でこれを可決した。http://thomas.loc.govに掲載されている情報からでは、石油節減修正法案が添付されたか否かが明白でない。 3:同修正法案は、昨年の包括エネルギー政策法案に盛り込もうとして失敗に終わったCantwell上院議員の石油節減修正法案を手本としたもの。
2月1日特別号 ブッシュ大統領、年頭教書演説で競争力とエネルギーに関するイニシアティブを提示 2006年1月31日に行なわれたブッシュ大統領の年頭教書演説は、前半が対テロ戦争やイラク復興へのコミットメント、イランの核問題や中東諸国の選挙結果といった外交政策で、後半が国家繁栄のための内政施策という構成であった。今年のブッシュ大統領の年頭教書演説は、大統領選挙の再選勝利で国民からマンデートを受けたとして自らのアジェンダを強気に主張した昨年の演説よりも語調が和らぎ、時には超党派的とも思える、対立姿勢を抑えた演説であった。 年頭教書演説でブッシュ大統領は、(1)世界をリードする強いアメリカ(A Strong America Leading the World);(2)米国競争力イニシアティブ(American Competitiveness Initiative);(3)先進エネルギーイニシアティブ(Advanced Energy Initiative);(4)手頃で便利なヘルスケア(Affordable and Accessible Health Care)という4つのイニシアティブを提示した。エネルギー問題が今年の年頭教書演説で重要議題の一つになるであろうことは、、ブッシュ大統領のCBSテレビインタビューやScott McClellanホワイトハウス報道官の発言等から明らかであったが、実際に大統領がこれに費やした時間は僅か2〜3分であり、クリアスカイ法案や自動車燃費強化は言及のないままに終わった。ここでは、ホワイトハウスのホームページに掲載されている、米国競争力イニシアティブと先進エネルギーイニシアティブの概要を紹介する。 A. 米国競争力イニシアティブ 米国のイノベーションを奨励し、国際経済における米国の競争力を強化するイニシアティブ。同イニシアティブは、研究開発(R&D)投資の拡大、教育の強化、起業家精神とイノベーションの奨励に10年間で少なくとも1,360億ドルをコミットする予定であり、2007年度予算は59億ドルとなっている。米国の競争力を強化するため、大統領は下記の包括的戦略を提案している:
具体的な施策は下記の通り: 1. 連邦政府のR&D投資
2. 民間部門による技術投資の奨励
3. 教育 世界市場での競争に通用する米国市民を育成する必要がある。米国競争力イニシアティブでは、K-12(注1)の数学・科学・技術教育の質を改善し、分析能力や問題解決能力および技術的スキルを教える厳しいコースに全ての子供を参加させるため、新たに3億8,000万ドルの政府支援を提案している。具体的なプログラムは下記の通り: 4. Career Advancement Account(CAA)設置 労働者や求職者が訓練他の雇用サービスを受けるために使用することの出来る個人管理口座で、一人最高3,000ドル。年間80万人を支援。 5. 包括的な移民制度改革計画 世界で最も有能な人材に米国での就労を認めることは、米国の生産性と国際的競争力を高めるほか、米国人の為に高収入の職種を創出することになる。国家安全保障の優先事項を保持しつつ米国の移民制度を改革することを支持する。 B. 先進エネルギーイニシアティブ 米国をエネルギー資源対外依存から解放するためのイニシアティブ。2025年までに中東からの石油輸入量の75%以上を代替することを国家目標とする。エネルギー省(DOE)のクリーンエネルギー研究予算を22%増大し、発電源と自動車動力源という2つの重要分野においてブレークスルーを加速化させる。具体策は下記の通り。 1. 発電源の多様化 クリーンコール技術、クリーンで安全な原子力エネルギー、革命的なソーラー技術や風力技術の研究促進は天然ガス需要を減らし、エネルギー価格の低減につながる。同イニシアティブの提案する研究は下記の通り: 2. 自動車動力源 6年以内に「セルロース系エタノール」を実用化するため、セルロース系エタノールを生産する最新方法の研究を支援する。また、ハイブリッド自動車や電気自動車、および、水素で走行する無公害自動車用のバッテリー研究を推進する。 (Transcript of State of the Union, American Competitiveness Initiative, and Advanced Energy Initiative, January 31, 2006) 1:K-12は、幼稚園(kindergarten)から高校まで。 Top Page |