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2005年10月後半分 ■ エネルギー・環境・産業技術関連では、以下のような動きがあった 10月28日号 テキサス州の海上風力発電プロジェクト テキサス州政府がメキシコ湾のガルベストン島沖7マイルの11,000エーカーをWind Energy Systems Technologies LLC(WEST LLC)社に30年間リースする契約を結んだ。WEST LLC社の海上風力発電施設の予定発電量は約150 メガワットで、53基のタービンから外装ケーブルで海岸にある既存のサブステーションに送電する計画である。WEST LLC社のプロジェクト経費は総額2億2,500万ドルから2億5,000万ドルと見積もられている。 海上建設予定地の風に関する情報が殆どないため、WEST LLC社では風力タービンの設置に先立ち、高さ260フォートのタワーを2基建設して、予定地の風力ポテンシャルを評価する予定である。マサチューセッツ州とニューヨーク州の海上風力発電プロジェクトは市民の反対や認可プロセスが原因で遅れているが、テキサス州は他州よりも認可手順が合理化されているほか、風力タービンが景観を壊すというような反対が出る可能性も殆どないため、同州が米国初の海上風力発電を有する州になる可能性が高いと見られている。 テキサス州政府では、この風力発電施設が操業を開始すれば、年間で最低490万ドルのロイヤリティが入り、操業開始後の17年目からはロイヤリティは最低でも1,490万ドルまで拡大するものと期待している。(The Houston Chronicle, October 23, 2005) 中国市場用に省エネ住宅「Super E」システムの改良を図るカナダ政府 カナダ天然資源省のJohn McCallum長官が10月14日、カナダ政府は省エネ住宅「Super E」を中国市場用に更に改善・開発するため、3ヵ年で75万カナダドルを投資する予定であると発表した。カナダ天然資源省とカナダ住宅金融公社が資金を調達する。 「Super E」木造住宅建建造システムは、カナダ最良の住宅技術と建造慣行に基づくもので、カナダ産木材を使用して迅速な建築が可能である。中国で販売される住宅は、中国人消費者のニーズに合わせて設計され、通常の中国式コンクリート建築の住宅よりも省エネで、暖房費の節減が見込まれている。各住宅の60%がカナダ産で、住宅には暖炉や窓、台所戸棚も整備されるという。(Natural Resources Canada News Release, October 14, 2005) 弱い磁界によってナノ粒子が1センチの鎖を形成 国立標準規格技術研究所(National Institute of Standards and Technology = NIST)の科学者達が、100万個の磁性ナノ粒子から成る鎖の分解をコントロール可能であることを報告した。米国化学会誌Langmuirの次号に特集されるこの研究は、溶液中で大きさと性質が一定の磁性ナノ粒子から成る長さ1センチの鎖の創製と調節を実証する初めての研究調査となる。 NISTの科学者達によると、ナノ粒子に弱い磁界をかけたところ、ナノ粒子は微小な棒磁石のような反応をおこし、全てのナノ粒子が同方向を向き、線状の鎖を形成したという。また、ひとたびナノ粒子が一列整列すると、粒子間の引力が非常に強いために、磁界の方向を逆にすると鎖そのものが180度回転し、磁界を消すと鎖は螺旋状のコイルとなり、溶液を軽く揺すると鎖が崩れて幾つもの小さな輪になったという。NISTの科学者達は、光学電子顕微鏡と透過型電子顕微鏡を用いて、この構造を特性している。 これらの構造についての理解が深まれば、医療用画像化や情報ストレージ等への利用が期待される。たとえば、ナノ粒子の染料の使用によりMRI(磁気共鳴映像法)における健康な組織と病変組織のコントラストを向上できる可能性があるという。(NIST Technology Beat, October 20, 2005) 全米エネルギー効率経済委員会、民間のエネルギー効率改善計画投資の州毎ランキングを発表 全米エネルギー効率経済委員会(American Council for an Energy Efficient Economy = ACEEE)が2000〜2003年の間に民間資金で行われたエネルギー効率改善プログラムを量的に検討する報告書『エネルギー効率改善プログラムに関するACEEE第3回全米スコアカード (ACEEE's 3rd National Scorecard on Utility and Public Benefits Energy Efficiency Programs)』を発表した。この研究では、人口一人当たりのエネルギー効率関連支出および発電所収入に対するエネルギー効率関連支出の割合を推定している。この報告書によれば、2003年の実績は以下の通りであった:
(ACEEE News Release, October 7, 2005)
10月26日号 米加の越境汚染問題解決のため、排出権取引計画を提言する環境保護庁の研究報告 環境保護庁(EPA)は11月発表予定の報告書『米加の排出上限設定と排出権取引に関するフィージビリティ研究(United States-Canada Emissions Cap and Trading Feasibility Study)』で、最もコスト効率的なスモッグや酸性雨排出削減方法として、米加合同cap-and-trade(上限設定-取引)プログラムを提言する模様である。EPAの提案するcap-and-tradeプログラムは、石炭火力発電所やその他産業施設から放出される窒素酸化物と二酸化硫黄の排出抑制を狙った米国の既存プログラムに類似したものになる見通しであるが、報告書はこうしたプログラムを設定・実行するにあたって両国が直面することになる課題を下記の通り指摘している:
米国とカナダのリーダーがEPA報告書の提言を検討している最中であるが、EPAとカナダ環境庁では次のステップとして下記を計画している:
(Platts Coal Outlook, October 24, 2005) テキサス大学とオハイオ大学の研究チーム、カーボンナノ粒子と血液凝固の関連を発見 テキサス大学ヒューストン校付属の衛生科学センター(Health Science Center at Houston)とオハイオ大学の研究者達は、実験室で様々なカーボンナノ粒子がヒトの血小板に及ぼす影響を調べたところ、幾つかのカーボンナノ粒子はヒトの血小板を活性化して、血液凝固を促すことが明らかになったと報告している。唯一、フラーレンまたはバッキーボールと呼ばれるC60だけが、ヒトの血小板凝集に何の影響も与えず、ラットの血栓症にもごく僅かな影響を与えただけであったという。 同研究チームがヒトの血小板とラットの血栓症に与える影響を調べるために使用したカーボンナノ粒子は、一般的な都市の粒状物質、混合カーボンナノ粒子、バッキーボール、単層カーボンナノチューブ、および、複層カーボンナノチューブの5種類。結果は、混合カーボンナノ粒子が最大の影響を引き起こし、これに、単層カーボンナノチューブ、複層ナノチューブ、そして、一般的都市粒状物質の順で続いたという。同チームの研究結果は、次号のEngland Journal of Pharmacologyに掲載される。(University of Texas at Houston News Release, October 21, 2005) Gordon Smith上院議員、ナノテクノロジーの商用化を推進する法案を提出 Gordon Smith上院議員(共和党、オレゴン州)は10月21日、「2005年ナノサイエンス商用化研究所設立法案 (Nanoscience to Commercialization Institute Act of 2005:上院第1908号議案)」を提出した。この法案は、米国内に最低8ヵ所のナノサイエンス商用化研究所を設立するというもので、エネルギーやエレクトロニクス、医療や運輸、繊維や農業といった産業へのナノテクノロジー応用を専門とする研究所に3ヵ年で2,400万ドルのグラントを認可することになる。同法案の主な内容は下記の通り:
(bend.com, October 24, 2005)
10月25日号 代替エネルギー技術開発企業へのベンチャーキャピタル投資が増大 Cleantech Venture Network社では、再生可能エネルギーやエネルギー効率改善技術を開発する企業へのベンチャーキャピタル投資が2005年に増大していると報告している。Cleantech Venture Network社の推定によると、2005年前半期の同分野に対する投資額は約7億500万ドルで、2004年前半期の投資額(5億8,340万ドル)を21%上回っているという。再生可能エネルギー・エネルギー効率改善技術への投資は現在、ベンチャーキャピタル総投資の約7%にあたり、2001年の2%から大幅な増大を示している。Cleantech Venture Network社では、同分野への投資急増の理由として下記をあげている:
(Wall Street Journal, October 24, 2005) ナノテクノロジーの安全性研究は商品化より遙かに遅れているという科学者達の指摘 環境保護庁(EPA)の国立環境研究センター(National Center for Environmental Research)が10月20日と21日の2日間、地下水の浄化にナノサイズの鉄粒子を利用することに焦点をあてた会議を開催した。幾つかのナノ材料は環境修復に役立つ可能性を示しているものの、参加者達の討議は、ナノテクノロジーが環境におよぼす影響が殆ど知られていないという点に集中した。 会議では多数の科学者から、ナノテクノロジーの安全性に関する研究がナノテクノロジーの商品化努力…洗剤、日焼け止めクリーム、ビル用建材、エレクトロニクス、医療用途等で約700の製品…よりも遥かに遅れているという指摘があり、これを正す方策として下記の提言がだされた。
(Greenwire, October 24, 2005) 上院、幹細胞研究推進法案の本会議審議を延期 連邦政府支援の胎性幹細胞研究を拡大する法案(上院第471号法案)が上院本会議にかけられるのは、来年になる見通しである。Arlen Specter(共和党、ペンシルバニア州)によると、Bill Frist上院共和党院内総務(テネシー州)は、第109議会の第2会期開始早々に、幹細胞研究を優先問題として取り上げることに合意したという。連邦政府胎性幹細胞研究拡大法案は、2006年度労働省・厚生省歳出予算法案へ添付されるという話が出ていたが、Specter上院議員は先頃、添付反対の決断を下だしている。 下院は、大統領が拒否権発動を威嚇しているにも拘わらず、今年5月に本会議で「2005年幹細胞研究推進法案(Stem Cell Research Enhancement Act of 2005:下院第810号議案)」を238対194で可決した。それ以来、幾つかの関連法案が共和党・民主党の双方のメンバーから提出されている。(Washington Post, October 22, 2005)
10月19日号 胚を破壊することなく胚性肝細胞を樹立させる新技術 ネイチャー誌が、アメリカ人科学者等が胚を破壊せずにマウス由来の胚性幹細胞を樹立する2つの新技術を開発したことを報告している。 その1つは、マサチューセッツ州ウォスターのAdvanced Cell Technology社のRobert Lanza博士が生み出した技術で、胚を切開して内細胞塊を取り出す現行法と異なり、マウス受精卵が3回分割して8つの細胞(割球と呼ばれる)になるのを待ち、受精卵が子宮に着床する前に、この8細胞の1つを取り出して人工発育させている。この単独の細胞は細胞分割を継続し、しかもその本質的特性が胚芽幹細胞と同じである。残りの7細胞から成る胚を後にマウスの子宮に移植したところ、このマウスは健康長寿を全うしたという。 もう1つは治療目的のクローニングの代替策となる技術で、マサチューセッツ州ケンブリッジにあるWhitehead InstituteのAlexander Meissner とRudolf Jaenischの両博士が開発した。治療目的のクローニングとは、患者自身の細胞から作った新たな組織を用いて患者を治療するプロセスであり、最近までこれらの細胞は、核を取り除いた卵子に患者の皮膚細胞から取り出した細胞核を注入する方法でしか樹立出来なかった。新しいプロセスはそれとよく似ているが、胎盤を作るドナーの核の遺伝子を「オフ」にすることによって、子宮に着床できなくする点が異なるという。 ヒト胚が「破壊されたり、廃棄されたり、意図的に損傷や死の危険にさらされる」研究を連邦政府が行うことを禁じているディッキー・ウィッカー修正法 …厚生省歳出予算法案の一環として1996年に可決された修正法で、毎年更新されている… に基づいて判断すると、Lanza博士の技術が連邦助成金の受給資格を持つか否かはまだ明らかではない。さらに、上院が今後の幹細胞研究についての討議をいつ再開するのかも、まだ報告されていない。(New York times, October 17, 2005) ナノテクノロジーの倫理問題に専心する新グループ誕生 ナノテクノロジーの潜在的なマイナス面や意図しない弊害について研究するナノエシックス・グループが10月10日、カリフォルニア州サンタバーバラ市で結成された。この超党派シンクタンクはナノテクノロジーの社会的・倫理的意味合いや政策上の意味合いを検討する予定である。 グループの共同設立者の1人Patrick Lin氏は、ナノテクノロジーの負の影響について、「まだ回答の出ていない気がかりな問題を幅広く扱う」ためにこの団体が必要だと考えている。グループは倫理的懸念を一蹴する企業の見解と、ナノテクノロジーによる大惨禍を予測する反対派の見解の「中道」を探る計画である。(Small Times, October 14, 2005)
10月17日号 パシフィック・ノースウェスト国立研究所、2045年〜2055年の大気質をモデリング パシフィック・ノースウェスト国立研究所(Pacific Northwest National Laboratory = PNNL)が、気候変動が米国各地域の大気質に及ぼす2045年から2055年の影響を予測するため、シミュレーションを実施した。PNNLが環境保護庁(EPA)からの財政支援を受けて行ったシミュレーションの結果と1995〜2005年のデータを比較分析したところ、下記が明らかになったという:
(PNNL News Release, October 6, 2005) 国立癌研究所、癌ナノテクノロジー優良センター7ヶ所新設に2,630万ドルのグラントを授与 国立癌研究所(National Cancer Institute = NCI)が10月3日、癌研究ナノテクノロジー(Nanotechnology in Cancer)を推進する1億4,430万ドルの5ヵ年イニシアティブの第一弾として、7つの癌ナノテクノロジー優良センター(Center of Cancer Nanotechnology Excellence = CCNE)の新設を支援するために2,630万ドルのグラントを授与すると発表した。今回のグラント受賞校と各センターの焦点は下記の通り:
(NCI Press Release, October 3, 2005) 上院の共和党議員、財政削減策としてエネルギー省のエネルギー使用合理化地方事務所閉鎖を検討中 ブッシュ政権からの連邦歳出削減に対する圧力を受け、上院の共和党議員はエネルギー省(DOE)の6つのエネルギー使用合理化地方事務所を撤廃する方向に動いていると報告されている。 ボストン、シカゴ、フィラデルフィア、デンバー、シアトル、アトランタにあるDOE地方事務所の主要業務は、(1)連邦政府ビルディングの省エネ慣行実施;(2)再生可能エネルギーや省エネプログラムに従事する民間企業への技術支援;(3)低所得家庭を援助する耐候化グラントの給付とモニターであるが、上院の2006年度DOE歳出予算法案には、この6事務所を閉鎖して、その業務をコロラド州とウェストバージニア州のDOE施設に廃統合する条項が盛り込まれているという。 DOEのCraig Stevensスポークスマンは、この6事務所が行なってきたグラント管理業務はDOE本部でより能率的かつ効果的に行なえると説明している。一方、クリントン前大統領時代にエネルギー効率化担当次官補を務めたDan Reicher氏を始めとするDOE元高官達は、地方事務所の持つ独自のネットワークや専門的知識が失われてしまうとして、事務所閉鎖に反対している。(Washington Post, October 11, 2005)
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